ヤフーインクがドットコム企業の広告費支出の鈍化を認めたことを受けて、株価が低下をし始め、9月から12月にかけて74%下落した。ヤフージャパンの株価もヤフーインクに連動する形で57%下げた。しかし、日米インターネット広告市場を論じる場合には、以下の3つの相違点に留意することが必要であろう。第1にドットコム企業広告主数の比率、第2に業界内の競合状況、第3に日米インターネット広告市場の成長ステージである。
先ず、ドットコム企業広告主比率は日本の方が低い。ヤフーインクの40%に対してヤフージャパンは20%程度と推定される。したがって、日本のネット広告市場は米国に比べてドットコム企業の影響は軽微であると考えられる。
次に、市場シェアやユニークユーザー数から判断すると、米国ではヤフーインクの他にもアメリカ・オンラインやマイクロソフトなどが競合しているが、日本のネット広告市場ではヤフージャパンが圧倒的ナンバー1である。したがって、日本ではヤフージャパンに投資が集中することになる。
また、インターネットの利用者数や広告主数の比率などから判断すると、日本は米国よりも2~3年遅れた成長ステージにあると思われる。逆に言えば、日本のインターネット広告市場は米国に比べると未だ成長過程にあると考えられる。2001年も順調に拡大すると予想するが、そのカギを握るのが代理店の提案力であると考える。
70%を超えるリーチを持ち、広告主からは外せないメディアに成長したヤフーは、日本のネット広告市場における上述した3つの特性などから、現在の株価水準ではレーティングを「買い」に引き上げる。ヤフーの他、2001年はメール広告の新規公開銘柄にも注目したい。オプトインメール広告のエルゴブレインズとメールマーケティング事業を展開するメールニュースである。
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