トランス・コスモス(9715 東1、6,700円)の2001年3月期上期決算は、連結売上高525億円、同営業利益149億円、同当期利益87億円となった。今上期の売上高内訳は、情報サービス事業279億円、ベンチャーキャピタル(以下「VC」)事業246億円、また、営業利益は各事業それぞれ25億円、144億円となり、VC事業が業績を大きく牽引した。
しかしながら、ウィット・キャピタル証券は、今後はVC事業より情報サービス事業のウェイトが高まるとみる。その理由として、以下の3点が挙げられる。第一に、含み益は2000年3月末に667億円あったが、今上期の株式売却、および米ナスダック株式市場の株価下落を受けて、2000年11月末には約83億円まで低下した。第二に、会社側は2001年下期のVC事業の売上高を9億円と見込んでおり、同下期は投資先株式売却による収益貢献は期待できない。第三として、同社は含み益の水準を投資余力のベンチマークとして用いているため、この含み益の減少により、新たな投資活動は減速する可能性が高まった。
同社の企業価値は、情報サービス事業とVC事業の合計と想定できる。情報サービス事業は同業他社であるベルシステム24(9614 東1、45,900円)、もしもしホットライン(4708 東2、11,500円)の平均PER
51倍を適用し約1,465億円の企業価値と想定する。また、VC事業は、株式公開確率を27.6%、投資倍率(時価/投資簿価)を約1.9倍と想定し733億円の企業価値と算出した。合計して得られたフェアバリューは約2,198億円となるので、時価総額との乖離があり、レーティングを「買い」とし、目標株価を8,700円とする。
株価(円) |
6,700
|
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52週レンジ(円) |
6,700-52,700
|
(2000年12月15日)
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発行済株数(千株) |
24,397
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時価総額 (十億円) |
163
|
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ROE(%) |
9.2
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決算期 |
99/3
|
00/3
|
01/3予
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02/3予
|
03/3予
|
売上高 (十億円) |
38.4
|
48.9
|
82.0
|
77.7
|
93.1
|
EBITDA (十億円) |
2.7
|
5.1
|
13.9
|
5.0
|
6.3
|
経常利益 (十億円) |
2.8
|
4.0
|
13.7
|
5.0
|
6.4
|
当期利益 (十億円) |
0.7
|
1.4
|
4.4
|
2.6
|
3.2
|
EPS (円) |
31.9
|
59.9
|
180.3
|
107.5
|
132.8
|
PSR (倍) |
4.3
|
3.3
|
2.0
|
2.1
|
1.8
|
PER (倍) |
210.4
|
111.8
|
37.2
|
62.3
|
50.5
|
(注)EBITDA:償却前営業利益
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