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中川潤・イー・コータル証券社長 に聞く
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[インタビュー一覧]
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イー・コータル証券は、欧州系で初めて日本に進出したオンライン証券会社。フランスに本拠を置く欧州の大手オンライン証券会社のひとつであるバンク・コータルの100%子会社。バンク・コータルは、世界で第4位の総資産を誇るBNPパリバ・グループ(パリ国立銀行とパリバとの合併により誕生)のオンライン・ブローカレッジ業務を担っている。
日本では2000年10月23日にWebサイトを本格的にオープンさせ、営業を開始した。実際に証券取引を開始したのは11月20日で、まだ1カ月強の最も若いオンラインブローカーのひとつといえる。
欧州で成功したかたちのオンライン業務が果たして日本に通じるのか。どのような展開を図っていくのか。中川潤社長に聞いてみた。
(聞き手 別井 貴志)
――日本で展開しようと考えた背景は。
中川社長:日本人の貯蓄行動が欧州の人に近いということがあり、欧州で成功しているマーケティング手法が通じると考えた。私がイー・コータルに入社した1999年10月から設立・営業開始の準備に入り、トレーディングなどの企画などに1年かかった。
――日本では後発組のかたちですが、それに対して何か意識する事は ありますか。
中川:単純にオンライン証券の口座数だけをいうと2000年末に200万、2001年末に280万ともいわれている。全体として増加傾向は続くと考えているが、どうしても相場が悪化するとこれ以上増えないのではないかと弱気な見方も出てくる。しかし、オンライン証券の顧客数や証券人口などにこだわるよりも、システムが正常に稼働するか、顧客に対して間違ったマーケティングをしていないかなど、証券売買のインフラを投資家にきちんと提供できているかどうかということが重要、1年や2年程度他社に先行されたとしてもあまり心配していない。10年とか20年とかのタームで考えていきたい。
――そのなかで、どんな特徴を出していきますか。
中川:欧州から始まったこともあって、貯蓄志向の人に軸足を置いている。そういうと、株式取引の部分が不出来のように考える向きがあるかもしれないが、投資信託も含めて誰もが使いやすいシステムや機能の提供を重視している。例えば、投資家が「ログインの仕方がわからなくなった」という場合、その方法が一目で見つかるというように、Webページの配置構成には十分に注意を払った。こうしたことは、ちょっとしたことかもしれないが、何かわからないことや問題があった場合に、コールセンターの電話番号や問い合わせ先がどこに載っているのか探してもわからないといったオンライン証券のWebサイトも多くみられる。
――商品面での特色は。
中川:株式では、現在日本株の取り扱いに限定しているが、これを将来的には世界の主要株式市場へのアクセスを可能にしていく。投資信託では、スーパーマーケットのように多種多様な選択肢を提供しそこから投資家自らが投資商品を選択する「do it yourself」型と、自分の投資を管理運営する時間がない、またはプロに運用を任せたいといった顧客に対してファンド・オブ・ファンズを提供する「do it for me」型の2つのタイプを用意している。また、ライセンスを持ったファイナンシャル・アドバイザー(FA、現在5名)を自社でもっていることも強み。顧客1,000人に1人の割合でコールセンターにFAを配置したい。
――口座数など事業はどのように計画してますか。
中川:口座数については初年度に2万口座、2002年度に5万口座、2003年度に9万口座の獲得を目標としている。現在、資本金は3億円だが、12月末と2001年2月末の2回増資を計画しており資本金を10億円にする。バンクコータルの100%出資を変えるつもりはないため、増資により他の資本が入ることはない。また、イー・コータル自身の株式公開・上場も計画にない。さらに、引き受け業務はBNPパリバが行うため増資してもイー・コータル自身が引き受け業務を行うつもりもない。
――オンライン証券業界についてどのようにみていますか。
中川:オンラインと対面を兼業で行っているところは思ったよりシステムのメンテナンスやバージョンアップに伴うコストに対する実入りが少ないと感じているところが多いはず。おそらく、時代の流れに沿って単純に「うちもやらなくては」とオンラインを開始したところは相当厳しいだろう。逆に言えば、60社程度オンラインを手がけている証券会社があるというが、実質上のライバルはオンライン専業の10社程度と考えている。
――夜間や私設取引についての見方は。
中川:オンライン取引なので、その機会が増えることはポジティブで期待も大きい。こういった取引に対して反対しているのは対面営業している証券会社と聞いているが、やはり驚異に感じているのだろう。一般の人でも、基本的に9時から15時まで証券取引が行われていることを良いと考えている人は少ないだろう。現代の生活や行動を考えれば、例えば全部ずらして13時から23時までの取引の方が良いと思っている人も少なくないかもしれない。
――今後の展開・計画は。
中川:携帯端末を通じた取引を予定している。そのスタートと同時に、少額投資が可能な「ポケ株ワラント」も扱っていきたい。ポケ株は新規顧客を獲得するには有力な商品だと考えている。社内では、「ポケ株」のことを「プチ株」と呼んでいるが(笑)。携帯端末からポケ株の取引が行えるように進めているところだ。
■URL
・イー・コータル証券
http://www.ecortal.co.jp/
・オンライン金融サービス イー・コータル証券
http://www.watch.impress.co.jp/finance/service/trade/companies/ ecortal.htm
・イー・コータル証券が11月に営業開始~欧州系初のオンライン証券
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/10/19/doc751.htm
・「駅前倶楽部」にイー・コータル証券がコンテンツ提供
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/10/30/doc864.htm
・誰が最も稼ぐか当てよう~フレッシュアイにイー・コータル証券が提供
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/12/01/doc1240.htm
別井 貴志
2000/12/28
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