先週のゲーム株は、ティーアンドイーソフト(9611)、タカラ(7969)など、わずか4銘柄だけが上昇した一方で、翔泳社(9478)やイマジニア(4644)など大半の銘柄が下落。特に、ティ-アンドイーソフトは先週1週間だけで約57%の上昇率となり、“値動きの軽さ”が目立った。しかし、残りの大半の銘柄は、日経平均が昨年来安値を更新するなど、劣悪な相場環境下で売りが先行し、“下げが下げを呼ぶ”というような悪循環に陥っている銘柄も多数見られた。
●年初から大暴騰
先週の上昇率トップとなったのは、ティーアンドイーソフトであった。特に新規材料が観測されてはいないものの、昨年11月に発表した業績予想で通期の経常損益が黒字転換することが“買い安心感”へと繋がり、全体相場の地合いの悪さから一部の値動きの良い銘柄に“短期の値幅取りの資金が流入”したため、好パフォーマンスとなった公算が大きいと考えられる。
さらに、直近で米半導体メーカーのコネクサント・システムズの日本法人、コネクサント・システムズ・ジャパン(東京都渋谷区)が、家庭用ゲーム機器「プレイステーション2」に通信機能を持たせられる半導体を開発、販売を始めたと報じられたことも、“PS2用ソフトに特化”している同社の現状に対する再評価要因となったようだ。ただ、先週1週間の出来高は僅か45千株と非常に薄商いであることと、非常に逃げ足が速い資金と考えられることから、今後の値動きは多少懸念はされる。
●ゲームのネット化元年
先週は、全体の株価が軟調に推移したこともあって、ゲーム株も値を崩す銘柄が散見されたが、やはり2001年が“ゲームのネット化元年”と期待されるとあって、ゲームの通信システムに関する話題が豊富であった。例えば、9日には、セガ(7964)が先月末に国内で発売したインターネットを使ったオンラインゲームを、今月末から欧米にも出荷し、2~3年内に累計出荷本数を100万本に引き上げると発表。同社はネット対応の家庭用ゲーム機「ドリームキャスト」を既に全世界で累計約600万台出荷しており、今後通信回線の高速・大容量化が進み、インターネットを使ったゲーム需要が増大するとみて攻勢をかける。
また、11日には、任天堂(7974)が27日に携帯ゲーム用通信システム「モバイルアダプタGB」をKDDI(9433)の携帯電話販売店などで販売すると発表。「auショップ」など全国の携帯電話、簡易型携帯電話(PHS)の販売店約2,800店で取り扱うという。「モバイルアダプタGB」は任天堂の携帯型ゲーム機「ゲームボーイカラー」と携帯電話などを接続して利用し、携帯電話を通じ任天堂の設置するサーバーに接続すると当初はゲームソフトに入っていないキャラクターやゲーム情報を加えることができる、などの特徴がある。
しかし、ここに来てゲーム各社が、家庭用ゲーム機よりも携帯電話に熱い視線を注いでいる。NTTドコモ(9437)の「iモード」をはじめとした携帯ネットサービス利用者の急拡大により、“携帯電話”が家庭用ゲーム機に匹敵する新たなハード機として急浮上しているためだ。各社の心境はかなり複雑で、一部でこの携帯電話の普及自体が昨今のゲーム市場低迷の一因と考えられており、サーバーの維持費用等による収益率の低さも各社の頭を悩ませている。今後、携帯電話はゲーム市場に吹く“追い風”なのか、それとも“逆風”なのかは今年続々と発売される(Xboxなどの)ニューハードと共存できるのかどうかにかかっていると言えそうだ。
●ぼく、ドラえもん。
バンダイ(7967)は人工知能を搭載した猫型ロボット「Communication Robot BN-1(コミュニケーションロボット ビーエヌワン)」を1体5万円にてインターネットの専用ホームページで2月21日より予約販売受付を開始する。BN-1は、バンダイが約5年の歳月をかけて研究開発した完全自律型ロボットであり、コミュニケーションロボットの名前が示すように、様々なアクションと表情で人間と友達のように遊ぶことができるという。
また、搭載されている人工知能により接し方で性格や能力が育成されたり、付属品の猫足型「IDスイング」の赤外線信号により飼い主を認識して芸をするなど、“人間とコミュニケーションする”点に最も重点を置いて開発されている。つまり、いわゆるソニー(6758)の「AIBO」が「犬」であったのに対し、こちらは「猫」で対抗しようとしているのだ。
しかし、最初“人間とコミュニケーションできる人工行動知能搭載の猫型ロボット”と聞いた瞬間、21世紀を迎えたこともあり「遂に出来たのか・・・」と誰もが待ちの望んでいたあの“ドラえもん”を思い描かずにはいられなかったは事実である。でも、もしかしたら「将来のドラえもんの原形はこのBN-1であった」という時代がいつか到来するかもしれない。今回販売するのは僅か2,500台であり“プレミアム”がつく可能性があるのでお早めに購入することをお勧めしたい。
●今週の展望
今週は、最近出来高を伴って急上昇しているタカラ(7969)に注目したい。先日、マイク一体型の家庭用カラオケ「e-kara(イーカラ)」の販売を強化するため、レンタルビデオ店や家電量販店などにも販売網を広げることが報じられたことに加え、12日には、岡三証券(8609)が株価レーティングを「アウトパフォーム」に格上げしたことも追い風となると考えるからである。また、先週に引き続き“第2位の法則”でも同社株を示唆しており、非常に心強い投資環境となっている。そして、「モーニング娘。」と一緒に、年初の劣悪相場をこのタカラで乗り切りたいと考えている。
□関連表
・ゲーム各社騰落率
・ゲーム各社先週の動き
フィスコ アナリスト 黒岩 泰
2001/1/15
■ゲーム関連企業リポート
・コナミ
・スクウェア
・バンダイ
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