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東電を“本気”にさせたベンチャー~エネサーブ [経済リポート一覧へ]

 東京電力(9501)が、電力業界のタブーを破って自家発電の代行子会社「マイエナジー」を設立したのは2000年3月。ただでさえ増え続けている企業の自家発電の動きを後押しする自家発電代行ビジネスに対抗するためだ。しかし、マイエナジーが当初、主力の発電システムとして力を入れていたマイクロタービンの効率性は、発電専用の「モノジェネ」では他の発電機に太刀打ちできず、批判を承知の上でディーゼル発電システム中心の営業への切り替えを余儀なくされた。電力業界トップの東京電力を“本気”にさせたナスダック・ジャパン上場企業のベンチャー、エネサーブ(6519)とは―。

●低コスト武器に
 トラック用のディーゼルエンジン(出力170kw、三菱自動車工業製)と発電機を組み合わせた低コストの自家発電システムを“武器”に、24時間遠隔監視体制、保守・点検サービス、はては燃料の調達に至るまで「フルサポート体制」で自家発電市場に猛攻をかけるエネサーブ。発電システムの設置台数は2000年9月末時点で3,508台に達し、今年度だけで500台以上の純増が見込まれる。

 業績も好調だ。同社によれば、ナスダック・ジャパンへの上場(昨年8月)効果に加え、「コストダウンの課題を抱えている企業が安い電気を求め、電力会社の業務用料金よりも2~3割安い当社の自家発電システムへの需要が急速に高まっている」という。2001年3月期の売上高は前期比約22%増の244億6,600万円、経常利益も約22%の増加(32億5,700万円)を見込む。

 徹底した合理化努力と、低コストの自動車用ディーゼルエンジンを組み込んだ自家発システム。そして先物取引を活用した安価な燃料供給サービスがエネサーブの躍進の原動力となっている。電力各社は昨年10月、電力自由化後初の料金値下げに踏み切ったが、それでもなお「東京、関西、中部3社の業務用電力料金(平均)よりもベスト・ケースで40%程度安く、優位を保っている」(同社幹部)という。


大手企業の工場に設置された排熱利用型コジェネシステム

●小売りへの参入も~深尾社長
 「エネサーブ方式」と呼ばれる独自のビジネスモデルを編み出した深尾勲社長に、同社の今後の戦略を聞いた。

――マイエナジーは脅威か?

深尾:東電は、あるシンクタンクに依頼して、(設立の)1年も前から当社のことを徹底的に調べ上げたようだ。エネサーブの跳梁跋扈を阻止するためにマイエナジーを設立したわけだが、世の中は経済原理で動いている。いかに安く、しかも長期・安定的に電気を供給できるかがビジネスのカギを握っている。東電は相当苦労するだろう。

――東電がキャッチアップするまでに相当時間がかかる?

深尾:当社がオンサイト型の自家発システムを手がけて15年。1,000台から2,000台にの伸ばすまでに7~8年かかったが、その間は試行錯誤の繰り返し、バグ(技術上の問題点)だらけだった。それを、ユーザーやエンジンメーカー、試験所などの協力を得て、徹底的にバグ潰しをした。このくらいやらないと技術はブレークスルーできない。  もの凄いコストがかかったが、電気代が高い時代だったので算盤勘定が合った。これからバグ潰しを始めたら、いかに東電とはいえキャッチアップには数年かかるだろう。

――電力小売りへの参入計画は?

深尾:自前の発電所を建設する。現在、茨城、福島、山形、福井、富山、滋賀の6カ所で候補地の選定を進めており、共同方式と単独方式(出力1万5,000kwクラス)を考えている。

■URL
・エネサーブ
http://www.eneserve.co.jp/

河原雄三

2001/1/9

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