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ゲームに投資(10月10日更新) [ゲームに投資一覧]

 先週はコナミ(9840)やカプコン(9697)などが上昇し、ナムコ(9752)やジャレコ(7954)などが下落した。コーエー(9654)は業績の上方修正を発表したのに対し、イマジニア(4644)やナムコなどは下方修正の発表となった。その結果、上方修正したコーエーは堅調に推移したのに対し、下方修正を発表したナムコなどは大幅に下落した。それは、「思惑」や「需給」といったもので株価が左右されたわけではなく、株式市場が本来求められている「業績の良い銘柄が買われる」機能を十二分に発揮した結果となった。

 ●サラリーマンの必須アイテム
 先週、最もショッキングだったのはナムコが赤字転落への修正を発表したことであった。その主な理由として、会社側は(1)アメリカおよびヨーロッパの業務用機器販売会社の不振(2)アメリカにおけるアミューズメント施設運営事業の伸び悩み―と発表した。理由はともかくとして、ナムコの赤字転落は株式上場以来初めてであり、株式市場にもナムコショックが走った。といってもナムコ株が下がっただけなのだが・・・。

 今後のナムコの業績は今月26日に発売を予定している期待のソフト「リッジレーサーV」「鉄拳タグトーナメント」「motoGP」の3ソフトの合計出荷本数にかかっているといえよう。会社側は83万本の出荷を予定しており、依然強気の態度を崩していないのだが、果たして予定通りうまく行くのであろうか。なぜそんなことを考えるのかというと、先々週の“ある出来事”を思い出したからである。それは、ソニーコンピュターエンターテインメント(SCE)の米国子会社が、プレステ2の初回出荷台数を「100万台から50万台に下方修正する」と発表したことである。「ナムコさん。ゲーム本体が半分しかないのにソフトが予定通りに売れるっていうのはちょっとムシが良すぎるんじゃないですか」と、ツッコミを入れたくなる状況なのである。

 しかし、そんなナムコにも一筋の光が射し込んでいる。それは10月末をメドに、シャープの携帯情報端末「ザウルス」に「パックマン」を投入するからである。「パックマン」といえば、通常のゲームソフトと比較して大きく違う点がひとつあることに気が付いた。それは、「片手でプレーできること」である。かつてインベーダーゲームが一世風びしたころは、左手に「操作レバー」、右手には「ミサイルボタン」タイプが主流であった。

 しかし、現代のゲームといえば、ボタンがあまりにも多すぎて「何のボタンを押せばどう動くのか」、プレーしてみなければ分からないのが現状である。その点、「パックマン」は“シンプル・イズ・ベスト”の王道を行くゲームであり、「ザウルス」のような携帯情報端末用のゲームとしては、最高水準に達しているかもしれない。「満員電車の中でザウルスでパックマンをプレーしているサラリーマンを見かける日も近いだろう」と考えている。

 ●ヤボウ
 コーエーが中間期の連結業績予想を上方修正し、株価が上昇した。修正の理由として、「連結子会社であるコーエーキャピタルの投資先(英国の半導体関連の会社)の株式公開が早まり、保有株式を売却したことによる」と発表された。要するに、当初は下期に計上される予定の売却益が、上期に早まっただけの話なのである。来年のお正月にもらうお年玉を、この時期にもらってしまったようなものである。

 現在コーエーは“歴史もの”に強く、「信長の野望」や「三国志」など10年以上続くロングセラーが収益の柱となっている。そして、最近のプレステ2向けソフトのヒットにより、コーエーファンが徐々に増えてきている。PS2と同時に発売された「決戦」は国内で既に45万本を出荷され、続いて発売された「真・三国無双」は33万本出荷している。そして、現在次回作の「決戦II」を開発中であり、さらにファン層を広げそうな雰囲気が漂っている。

 なぜならば、今回の「決戦II」ではコーエーが考案した“凄い技術”がこのゲームに導入されるからである。その技術とは「群れ制御エンジン」である。この画像処理技術を用いると、何百人という人間を動かすことができたり、自然現象である「雷」や「竜巻」といった不規則な動きをするものも、簡単にコントロールできるのである。今後、コーエーが更なる飛躍をするには、“歴史”以外の分野でのヒットソフトを開発・販売する必要があると考えられる。

 歴史という限られた世界は、ある種の“オタク世界”であり、興味を示す人間に限りがあると考えられている。しかし、会社のビジョン通り「全ゲームをネットワーク対応化」し、全員参加型のゲームを作れば、近い将来コーエーの戦略も“野望”ではなくなる日が来るだろう。

 ●今週の展望
 今週は、エニックス(9684)に注目してみたい。その最大の理由は、大手コンビニエンスストアに独占的に供給するデジキューブが発表したゲームソフトの9月の月間販売ランキングで、エニックスの「ドラゴンクエストVIIエデンの戦士たち」が2ヶ月連続で1位になったことである。今期中に会社側は390万本の出荷を見込んでおり、7,800円という低価格で、あれだけ長時間楽しめるというコストパフォーマンスの良さは、リピーター(ドラクエVIIIを買いたいと思う人)を創出する効果は、絶大なものになると考えられる。  実際、プレーした人がまだプレーしていない人に勧める宣伝効果も期待でき、たった1本のソフトで無限の可能性を秘めているといえる。株価は材料出尽くし感が台頭し下落基調だが、この会社の実力を甘く見てはいけないと株価が語っているように思えてならない。

 というわけで今週は「エニックスに期待!」ということで締めさせて頂くが、2週続けてきた呪文もかなり効果が出てきたようで、今週はあとひと息の株式相場からの一気の“脱出”を願ってこの呪文を唱えたい。・・・「リレミト!」

□関連表
・ゲーム各社騰落率
・ゲーム各社先週の動き

フィスコ アナリスト 黒岩 泰
2000/10/10
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