9月29日付の日本経済新聞で、三菱商事(8058 東1)や日本テレビ放送網(9404 東1)、WOWOW、NTTドコモ(9437 東1)、NTTコミュニケーションズなど5社(以下5社連合)が次期CSデジタル放送のプラットフォーム事業に共同参入することが報じられた。日本テレビとWOWOWは、参入形態の具体案は明示していなかったが、参入自体は公式に表明しており、今回の報道内容に大きな驚きはない。
プラットフォーム事業としての成否はいかに視聴者を獲得できるかにつきる。鍵を握るのが価格とコンテンツであることは明白である。新5社連合と競合するスカイパーフェクト・コミュニケーションズ(4795 東マ)側には220万人の既存視聴契約者と3年以上の運営実績から、次期CSデジタル放送での視聴契約者獲得面で優位性があると考える。一方、5社連合はスカイパーフェクト・コミュニケーションズやディレクTVなどの先例を検証することで、成功する事業モデルを構築できる可能性を秘めている。
両陣営ともにそれぞれの優位性はあるが、事業セグメントの設定に矛盾を感じる部分もある。具体的には、5社連合はBSデジタル放送との棲み分けが不透明など問題含みだ。
BSデジタル放送や現行サービスとの棲み分けを明確にしつつ、両陣営の競合となると、視聴者獲得コストが負担になり、勝者ですら収益事業として成立しないおそれがある。もっともしっくりくるのが、スカイパーフェクト・コミュニケーションズが別会社で次期CSデジタル放送を事業化し、5社連合と事業を統合するシナリオである。サービス開始まで、そして開始後も単純な競合以外の可能性を秘めながら、次期CSデジタル放送をめぐる動きは流動的であるといえる。
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