本レポートは2回にわけて取りあげる市場分析編の前編レポートである。ここでは主として足元の液晶市況が軟化していること、TFT液晶業界が過当競争の構造をかかえている点について述べる。
TFT液晶産業にとっては、やはり価格トレンド、需給動向、採算面の3つが大きなポイントである。現在単価下落が続いており、一時的に改善されてきた採算面の悪化が予想される。さらに市場における勝者と敗者の選別が強まっており、これらの延長線上で、2000年年末から2001年にかけて、低価格化→採算面の悪化→業界淘汰・再編の流れが強まると予想される。
また製造原価の面、達成してきた営業利益率の面、いずれの水準でみても、2001年半ば以降日本メーカーの多く(全てではない)が、遅かれ早かれ赤字への再転落の可能性をはらみ、それを契機に事業判断の大きな岐路に立たされる可能性が高まっていると考えられる。
TFT液晶産業は他の電子部品産業に比較しても売上高の伸びが著しい。しかし新規参入メーカーが後を絶たず、結果として市場全体の拡大が既存メーカーの売上拡大にストレートに結びつかない、いわば市場における競合過多の問題を抱えている。この歪みが限界に近づいており、勝ち組・負け組の選別化とともに、業界における淘汰の可能性が強まっている。
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