次世代携帯電話(3G)の規格をめぐって、キャリア間の競争が始まっている。日本での次世代携帯は、2001年5月のNTTドコモと2001年末のJフォンによる東京周辺でのW-CDMAサービス開始により実用化が始まるが、KDDIのcdma2000も2001年末には主要都市でサービスを開始する。ただし、W-CDMAは、現在主流のPDC方式の携帯電話との互換性がないため全国で使われるようになるのは2005年頃となり、cdma2000が2~3年ほど先行して全国展開を完了する。
W-CDMAは、基地局にヨーロッパ、アジアで広く使われているGSM方式と互換性を持たせることでグローバルな展開を図ってきたが、IMT-2000という国際的な通信規格を満たした事業者免許の取得と基地局増設・新設のコストがかかるため、世界でもわずか9のキャリアが免許を取得したに過ぎず、グローバルローミングは2005年以降にずれこむと予想される。欧州系キャリアの中でも、EDGEと呼ばれる現世代(2G)のGSM方式を改良して384Kbpsの高速通信を実現する次世代携帯規格の採用を望むキャリアも出てきており、W-CDMAのグローバル展開は不透明になった。
cdma2000は、アメリカ、日本、韓国、オーストラリアですでにサービスを開始したcdmaOne方式の延長にある規格であるため、上位規格であるcdmaMC-1Xからcdma1X-EVへ既存の設備を活用しながら移行が可能である。グローバルローミングについても音声ではすでにサービスが開始され、パケット通信(EZweb)も2002年には米国でサービスが行われる。上下非対称のIP接続によるパケット通信により、W-CDMAより高速なサービスが可能である。
NTTドコモに関しては、iモードによって獲得した顧客をW-CDMAの普及にうまく誘導することが必要がある。KDDIについては、cdmaOneのブランドイメージを構築し、iモードに匹敵するユーザーの獲得を目指すが、2002年からcdma2000の全国展開時にどれだけの加入者を獲得するかに注目する。Jフォンは、回線交換主体のPDCへの投資を抑えて、積極的にW-CDMAの展開を行う。次世代携帯におけるワイヤレスインターネットの普及は、インターネット網(IP)への接続性と、スムーズなサービス継続性が鍵となる。
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