●“野中支配”に黄信号?
自民党の野中広務幹事長の求心力が急速に低下している。直接の原因は、先の衆院選で38議席と過去最大の議席減を招いたことにあるが、かつての盟友・加藤紘一元幹事長や亀井静香政調会長が野中氏と微妙な距離を置き始めたことも大きく影響している。
また、これまで太いパイプを誇示してきた公明党も来夏の参院選に向け独自行動をとるなど、野中氏の周りは難問山積。度重なる辞任示唆発言がいつ本物になりかねない。
●次期首相NO.1
時事通信が18日発表した世論調査によると、「次期首相になると思う人」で加藤紘一氏が初めて1位に躍り出た。2位の田中真紀子氏を10ポイント近く引き離した堂々のトップで、「ポスト森」の1番手であることを改めて証明した。
その加藤氏、野中氏らの批判にもかかわらず公明党との接触を試みるなど、これまでになく積極的。従来、何となく印象の薄かった加藤氏だが、政権獲りに向けていよいよエンジンがかかってきたようだ。
●公明、閣外協力に転換か?
公明党の神崎代表が産経新聞のインタビューで、秋の臨時国会の焦点の1つである斡旋利得罪が不成立なら閣外協力に転じる可能性を示唆、波紋を呼んでいる。
同氏は、「もし自民党内で反発が出て、まとまらないようなことになれば相当の覚悟を決めておかなければならない」と述べており、直接閣外協力に言及したものではない。しかし同法案は、公明党が最も力を入れているだけに、永田町では「相当な覚悟」がこのことを意味すると解釈されている。
閣外協力であっても緩やかな形の連立政権は維持されるが、閣僚を引き揚げることで、これまでのような自公保3党の結束に乱れが生じるのは確実。神崎発言がもし事実なら、森政権崩壊へまた一歩近づいたことになる。
政治アナリスト 北 光一
◆800字で日本の政治を読み解く「永田町の風」は毎週月曜日に更新します。
2000/08/21
|