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ゲームに投資(新連載) [ゲームに投資一覧]
 先週のゲーム株はカプコン(9697)、ジャレコ(7954)、コナミ(9766)、バンダイ(7967)が大きく上昇。一方セガ(7964)、スクウェア(9620)、アトラス(7866)などが大きく下落して終了した。昨今のゲーム業界のし烈な争いが日々目に見える形で現れており、弱肉強食の世界がなお一層本格化してきたことを痛感した。特に、ソニー(6758)とドコモ(9437)の強者同士が連合する一方で、セガが新宿の「タイムズスクエア」から撤退を余儀なくされるといった動きなどはその典型といえるだろう。

●アジアの携帯向け配信に人気
 先週1番上昇したのはカプコンだった。8月3日に香港や台湾などの東南アジア諸国で携帯電話向けのゲーム配信事業に乗り出すと報じられ人気を集めた。この事業により、各国・地域の大手通信会社と提携し、利用者がゲームや画像を携帯電話に取り込める仕組みをつくる。また、PC用オンラインゲーム「ディアブロ」の世界的ヒットも材料視され、アナリストたちが株価格付けを相次いで最上級にしていることも支援材料となった。一部では株価5000円を支持するアナリストもおり、マルチプラットホームとオンライン戦略で第3の成長をしている同社に期待を寄せている。

 【ジャレコ】先週は特に新しい材料は出ていない。しかし、8月3日に話題の音楽ゲーム「ドリームオーディション」がプレイステーション用に発売されたことが業績に大きく寄与する可能性があるとの評価らしい。加えて、本業以外の家庭用ビールサーバー「BEER PARTY」の発売も材料視されているようだ。この「BEER PARTY」はクリィーミーな泡立ちのビールを家庭で楽しめるビールサーバーで、価格は1万9,800円である。会社側の初年度目標出荷台数は何と20万台だそうだ。単純計算しても年間約40億円の売上高となり、会社側発表の今3月期の売上高65億円に対して実に60%強にも及ぶ大きな数字である。今年は例年にない猛暑で市場参加者はこのビールサーバーの方を期待しているのかもしれない。

●続々と新戦略
 【コナミ】先週のコナミは話題に事欠かない1週間だった。7/28にはスクウェアとPS用ソフト「劇空間プロ野球(略)」に関して、サブライセンス契約を締結したことを発表。7/31には岡三証券が株価の格付けを「2+」から「1」に引き上げた。8/2にはエニックスとPS用ソフト「オレが監督だ!」に関してサブライセンス契約を締結。また同日、パチスロ業界に本格参入することも伝えられた。更に、8/3に欧州に音楽ゲーム「ダンシング・ステージ」を投入することを発表。同日、コナミの子会社である「KCE東京」の上場を決定した。

 コナミは現在、子会社の株式公開を会社戦略の軸としている。既に子会社であるKCEOが店頭公開を果たしているが、今年は「KCE東京」、来年は「KCEジャパン」と次から次へと株式公開の予定が目白押しである。株式を公開することで子会社の価値が上がれば、親会社の資産価値も上がる。同時に子会社の収益が上がれば、連結決算で親会社の収益も上がるという図式だ。しかし、単に資産価値、収益増を望むのではなく、株式公開や独立採算性から従業員の意欲向上を引き出し、「会社の伸びる良い動機付けとなれば…」と会社側は期待しているのだ。いずれにしても、今後も目が離せない企業となりそうだ。

 【バンダイ】先週バンダイが大きく上昇した理由は1つしかない。それは、今まで最低売買単位が1,000株だったのに対して8月1日から100株に変更になったことだ。今回、売買単位が下がったのはバンダイだけでなく、他にも103社もあった。企業が売買単位を引き下げる背景には「株式の投資家層を拡大する」という理由と、「株式の流通の活性化を図る」という2つの主な理由がある。仮にバンダイの場合、株価が3420円なので最低必要資金が今までは342万円だったのが、100株に変更後には32.4万円(手数料は除く)で済むことになる。「安い金額で買えるようになったから株価が上がった」ということは非常に理解しやすいことだろう。

 一方、先週大きく下落したのはセガだった。特に最大のライバルであるソニーの「PSOne」が、3週間で20万台出荷したことに加えて、8月1日にはNTTドコモの「iモード」とソニーの「プレステ」が連携することが伝えられたのがセガの株価下落に大きく影響したようだ。さらに、8月2日には新宿の「タカシマヤ タイムズスクエア」から賃貸料の交渉がまとまらず撤退することが決定するなど、縮小路線を余儀なくされている。まさに、会社の衰退をまざまざと露呈する形となった。結果として、投資家からの見切り売りを誘うハメとなったようだ。

●材料出尽くし?
 しかし、そんな窮地に追い込まれているセガも、8月4日にドリキャス用のソフトを「TSUTAYA」でレンタルを開始することを発表した。まさに”背水の陣”という雰囲気になってきたようだ。しかし、実際は「セガが将来映画や音楽のオンライン配信に対してどのように対応するのか」という懐疑的な見方をする意見が多く、株価はほとんど上昇しなかった。

 スクウェアも大きく下落した。8/2に店頭市場から東証1部に上場したことによって、本来「御祝儀」的な相場になるはずなのだが、実際は大きく下落してしまった。今までスクェアの株価は「ファイナルファンタジーIX」の販売動向に大きく左右される傾向があった。そのため既に発売されてしまった現在となっては、「材料出尽くし感」みたいなものが出てしまったようだ。

 直近では、コナミとのライセンス契約をめぐって発売が遅れていたPS2用ソフト「劇空間プロ野球」を9月7日に発売することが大きな材料だろう。このソフトは、実際の野球を見ているようなリアルなゲーム画面と、野球ゲームとしての爽快感、さらにあたかも監督や選手になったような臨場感を売りとしているゲームで、それゆえに投資家の期待度も高い。また2001年度から始まるネットワークサービス「プレイオンライン」も非常に関心度が高い。

 先週は非常にめまぐるしい動きのあったゲーム業界だったが、今週は特にジャレコの動きに注目してみたい。株価が比較的安く値動きも軽いため、他のゲーム関連株が上昇すると”つれ高”する傾向があるのも魅力的だ。さらに暑い夏にはビールが一番だし、歌って楽しめる「ドリームオーディション」があれば更に盛り上がること間違いなしだ。

□関連図
・ゲーム各社騰落率
・ゲーム各社先週の動き

フィスコ アナリスト 黒岩 泰
2000/08/08
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