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流動性を重視するマネックス証券
の新規上場
[インタビュー一覧]
松本大 社長

 マネックス証券(8626)が、オンライン専業の証券会社として初めて8月4日に東証マザーズに新規上場する。

 7月24日までがブックビルディング(需要動向の把握)期間で、公開価格は25日に決まる。申し込み期間は7月25日から8月1日まで。

 最近の新規公開・上場株の表示株価は数100万円、もしくは1,000万円を超える銘柄もあるが、7月14日に発表された仮条件では1株あたり4万~4万5,000円(中心値4万2,500円)と相対的に低い表示株価になっている。

 これは、株式を無額面化して1円で株主割当増資を行ない、単位株制度を採用しないで1株単位の売買を可能にしたことによるもので、日本では初の方法となる。

 しかし、その一方で上場に際して15万株もの公募を行ない、増資後の発行済み株式数は143万4,416株と一気に増える。

 新しい手法で上場しようとする狙いなどについて、マネックス証券の松本大 代表取締役社長に聞いてみた。

(聞き手 別井貴志)


 
――株式を公開・上場するきっかけや背景は。
松本氏
理念の問題として、我々のように大勢の顧客を相手に行なっているビジネス、まして顧客の資金を預かっているビジネスは、会社の業態としてプライベートカンパニーというよりはパブリックカンパニーであるべきだ。この理念については、会社を設立する前、ソニーと話を進めていたときから確認しあっていること。
――調達資金の使途は。
松本氏
新規公開株の引受業務を発展させるため、自己資本の充実を図るためだ。
 
――上場市場を東証マザーズに選んだ理由は。
松本氏
東証マザーズもいろいろいわれているが、立会場で場立ちがいた時代ならともかく、例えば「今日はマザーズを買おう」と言ってマザーズの銘柄を一括して買う投資家はいない。銘柄ごとに売買するわけだから、そういった意味での市場(マーケット)というのはあまり意味を持たない。ただ、市場というのはインフラという意味でみている。マザーズというのは東証。1部も2部もマザーズも単に分かれているだけで、システム的、人的、組織的にも東証が運営しているということに変わりはなく、インフラとしての東証は安心感が強い。
 
――今までの日本にはあまりみられないような株式の公開、公募のやり方だと考えるが、どういった点を重視したか。
松本氏
とにかく流動性を付与しようと考えた。株式や市場というものは、やはり流動性がなければいけない。これは、金融に携わるものとしての我々の信念である。流動性を伴ったかたちはどのようにしたら良いかいろいろと考えた。法的、技術的にも様々に研究し、関係当局などにもよく相談した結果、無額面化した上で1円で株主割当増資を行なうというかたちで株数を増やすのが、流動性を高めるのに有効な方法であると判断した。
 
――なぜ、前例が無かったのか。
松本氏
証券会社、監査法人、あるいは発行体の財務部が自信がなかったなど、いろいろな理由があるだろう。いずれにしても二の足を踏んだ。我々は流動性を付与したいという信念のもとにどうしてもやりたいと考えた。そういった強い信念のなかで、弁護士や会計士、当局とも何度も話し合った。
 
――技術的にはクリアできても決断力が必要ということか。
松本氏
技術的な方法論のほかに精神的な問題も大きい。我々も結果的にこういう事ができると分かっても、精神的なハードルは大きかった。俗に言うところの「単位株」のかたちからみると、総株数が多いためそれに伴う株主代行コストが高いことや、株主総会をどのように行なうかなど。また、信念があるとはいうものの、こういった新しいかたちで行なうことに対して市場がどのように反応するか、受け入れてくれるのかといったことも考えた。この点についてはまだ分からないが、そういった恐怖感といったものもあることは確か。精神的なハードルといった部分は、証券会社とか弁護士、会計士、当局といったところではなく、おそらく最も大きい障害は自分の中にあって、それを乗り越えなければならなかった。
――技術的に今までと明らかに違っていたことのひとつとして、上場が承認された時点で公募の1株当たり予定価格帯が明らかにされたことがあるが。
松本氏
最初に発行する有価証券届出書に発行総額の見込み額が記載されているので、割り算すれば1株当たりの価格は分かるもの。これは事実なので公表したし、もちろん法的にも何ら問題はない。しかし、通常は公表しない。あくまでも有価証券届出書上の数値で、仮条件のレベルの数値とも違うが、ひとつの「目安の想定」のようなものといったら良いだろうか。できるだけ早い段階からなるべく多くの人に理解してもらうため「7月7日に当局に提出した有価証券届出書において発行総額の見込み額を算出するために用いた額は1株当たり4~5万円の平均価格4万5,000円」と表記した。
――米国のIPO(新規公開)も参考にしたのか。
松本氏
NYSEでもNASDAQでも、企業が上場するときにはだいたい1株20ドルぐらいになるように分割する。これはかつて規制当局であるSECの指導でもあったが、いまや常識。そして、上場後に株価が100ドルを超えてきたらまた株式分割することで流動性を保つ。それが、キャピタルマーケットが進んでいる米国における常識で、それとの見合いで考えれば我々のやっていることは自然のことだと考える。
――流動性を考えた場合の自社株の妥当と考えるレベルは。
松本氏
発行体なので、自社の株価についてはコメントできない。ただし、一般論として考えた場合、普通の個人投資家が株に投資しようとしたときに、秋葉原へ行ってモノを買うときと同じぐらいの値段で買えたほうがいいんじゃないかと、秋葉原で育ったいちアキバ少年として私は思う。昔から秋葉原で、例えばオーディオデッキ、ターンテーブルなどを買う場合だいたい5万円前後だろう。最近はコンピュータが出てきたのでそれより高いこともあるが。
一方で、東証正会員協会が、昨年9~10月にかけてアンケート調査した結果によれば、1売買単位が高すぎると答えている人が多く、いくら以下だったら高すぎると思わないかとの質問に対しては、株の取引をしている人の多くが50万円と答え、取引をしていない人の多くが10万円と答えている。この結果からみれば、新しい個人投資家層を広げようとするなら1株は10万円以下ということになるだろう。
 
――主幹事証券となっているJ.P.モルガン証券とは引受業務で協力関係にあるが、具体的にはどのような関係か。
松本氏
業務協力の覚書に調印している。機関投資家とリテールで、お互いに無いものを補完しあえるだろう。具体的には、マネックス証券が引き受ける企業を含めて日本の個別銘柄についてのリサーチレポートがJ.P.モルガン証券から供給される。マネックス証券にも調査部はあるが、こういった協力関係ができれば、自らの調査部を拡充していかなくても投資家をサポートしていける。ただし、特定の金融機関とだけ取引きしたり協力関係を構築するわけではなく、あくまでも広く関係を作っていきたい。
――とかく、ソニーの証券会社部門のような言い方をされる場合もあるが。
松本氏
人がどのように捉えたり、見たりするかは特に気にならない。ソニーと我々の関係は単純なものではない。だからいろんな見え方があるのは自然なことだと思う。それについて、我々自身がソニーとの関係はこうである、と言わなくてもいいんじゃないかという気持ちもある。それぞれの方で判断して欲しい。
――以前から松本さんはオンライントレードの問題点もいろいろと指摘してきたが、日本のオンライン証券会社から見た問題点は。
松本氏
ISP(インターネット接続サービス業者)や電力会社などと比較にならないほど1日の中の繁簡の時間差が激しい。ISPだと午後11時、電力会社だと8月の午後2時がピークといわれているが、オンライン証券会社の場合は、夜間に注文をためた上で市場が開く午前9時に一気に注文を出す。そのため、午前9時前後のサーバーのリソース利用率が極端に高くなり、これが最大の問題点。これを回避したいという考えからECN(電子取引ネットワーク)に取り組もうと思ったが、東証がそれを行なうという方針なので現在はこれを待っている状態。インターネットというインフラ、技術によって顧客側は24時間動いているのに、マーケットは前後場合わせて1日4時間半しか開いていない。この差が歪みを作っており、これを何とかしないとリソースの平準化は難しい。

□関連サイト
・マネックス証券
http://www.monex.co.jp/
・FWリンク集
http://www.watch.impress.co.jp/finance/link/#5
・マネックス証券、J.P.モルガンと相互協力し「e-IPO」を推進(Internet Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0628/
monex.htm

・マネックス証券が8月4日に東証マザーズ上場、1株数万円で購入できる可能性も(Internet Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0710/
monex.htm


2000/07/24
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