【川鉄社長に数土氏―NKKとの統合に意欲】
(28日読売朝刊など各紙)
川崎製鉄(5403)が、王道の製鋼畑を歩み、アジアの鉄鋼メーカーとの提携やNKK(5404)との提携交渉を積極的に推進してきた数土文夫副社長を次期社長に決定した。
●新日鉄への対抗が明確に
数土氏は国際経験豊かなエリート技術者で、再編の流れに遅れて世界の鉄鋼業から完全に取り残された米国鉄鋼業のテツを踏まないよう、国内鉄鋼業界の再編の必要性を強く主張、今回、公式の場で初めて両社経営統合の実現に強い意欲を表明した。
粗鋼生産で新日鉄は年産2,562万トンであるが、川崎製鉄(同1,092万トン)とNKK(同1,221万トン)の統合により、新日鉄への対抗勢力となる。
特に新鋭製鉄設備をもつ川崎製鉄の水島とNKKの福山の両製鉄所を温存し、一方で、川崎製鉄千葉とNKK京浜の集約を行うことで、両社の統合メリットは極めて大きい。この両社の統合は、将来の合併への道につながり、鉄鋼業界再編の大きな引き金になっており、鉄鋼株が投資対象として魅力が出てくる。数土文夫氏の社長就任は、川鉄―NKKの統合・合併に向けた決断のメッセージであり、両社株について買い材料となる。
■URL
・川崎製鉄
http://www.kawasaki-steel.co.jp/
・NKK
http://www.nkk.co.jp/
【造船事業、石播と川重先行統合】
(28日日経朝刊)
造船業界は、2000年から構造改革に取り組んでおり、本年はさらなる「改革案」が打ち出されつつある。それだけにこの改革案によって復活が遂げられるか否か株式市場は厳しく精査しており、今回の石川島播磨重工業(7013)と川崎重工業(7012)の先行統合はマーケットには明るい材料だ。
●危機要因2つに全力対応
日本の造船業界が危機に陥ったのは2つの要因がある。1つは韓国勢に逆転されたことだ。複数のかつ大型の建造ドックを擁し、船種を選ばないフレキシブルな受注、生産体制と安い人件費をフルに生かした設計多様化なその戦略面の奏功が大きい。もう1つは世界的な需給ギャップの拡大だ。
1970年代に大量建造されたタンカーの更新需要一巡により世界建造能力4,000万総トンに対し、需要は2,000~2,500万総トンにまで落ち込み需給見通しが厳しくなっていることだ。
両社の造船事業の統合で、国内最大手の三菱重工業(7011)に次ぐ国内第2位の造船会社となり、日立造船(7004)とNKK(5404)も来年秋に事業統合となるため、造船業界は3大グループへの集約が進み、いよいよ「改革案」は動き出している。とくに石播の「選択と集中」の実行力は高く評価され、造船業復活への道を牽引する企業として注目だ。
■URL
・石川島播磨
http://www.ihi.co.jp/
・川崎重工
http://www.khi.co.jp/
【FINANCE Watchから】
●シャープ、広島に電子デバイスの新生産拠点(3/27)
シャープ(6753)は連結営業利益の70%は部品事業で稼いでいる。液晶表示装置、同用ドライバーLSIの生産では世界最大のシェアーを誇る。電子デバイスは次の中軸事業にすべく新生産拠点をつくり、旺盛な需要が予測されるデジタル情報機器向けに対応する。目先の下押しはあるが同社株は積極的に押し目買い。
■URL
・記事
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/03/27/doc2374.htm
[袴田まさお]
2001/3/28
|