【公示地価、下落10年連続】
(23日各紙朝刊)
10年下落ということは、必ずしもバブルの清算だけではなさそうだ。そもそもわが国は歴史的にも鎌倉時代から土地本位制が定着してきた。しかし経済のグローバル化がすすむなか、土地といえども財産でなく一使用商品となり、その結果地価下落で土地神話が崩壊した。
●地価下落で誰が喜ぶ?
企業はリストラで土地放出を強め、個人は所有より賃貸に魅力を感じはじめている。問題はこれまで担保として融資する金融機関、それに借り手の、いずれも土地にしがみついたことだ。金融機関は不良債権が増加し、借り手はバランスシートが悪化、経済活動がシュリンクする状況に陥っている。
政府は地価下落が景気回復を阻止しているとして、土地の流動化策を検討しているが、下落に歯止めをかける政策は見当たらない。収益還元法による土地の評価方法が検討されているが、地価下落阻止というより、2極化が一層進むとみたほうがよさそうだ。いずれにしても、金融機関の不良債権の増加はとまらないわけで、結局、直接償却処理でバランスシートから不良債権を引き落とすことが促されることになろう。
地価下落で喜ぶのは誰か? どうやら海外の投資家であろう。ゼネコン、流通などをまだまだM&Aしたいようだ。いつ地価は下げ止まるのだろうか。週末の不動産株は地価下落ニュースで反落している。
【ガソリン値下がり拡大】
(22日日経夕刊)
●石油元売株には中立
顧客の安値志向にスタンドの人件費のコスト減という両者のニーズが一致した。デフレ圧力の緩和を政治は狙うが、デフレは必然の流れである。これまで物価は高すぎたわけで、むしろ正常化に向かっているのかもしれない。石油元売株にとっては中立の材料だ。
【FINANCE Watchから】
●2001年の世界携帯電話市場は5億台に~データクエストが予測(22日)
ITバブルが崩壊したいま、データクエストの携帯電話市場の予測は、思ったより大きいと見ざるを得ない。直近の株式市場の一部予想では4億台にとどまるとみていたからである。それだけに、5億台に乗るのであれば、IT関連株なかで携帯電話事業の売上げに占めるウェートが高い銘柄―たとえば村田製作所(6981)=40%台―にとっては朗報である。
もっとも、2005年までの中期的な展望ではデータクエストは7億4,000万台規模とやや慎重だ。これまでの予測では10億台は必至とみていたからである。それにしても、おりしも、関連銘柄の株価は悪材料を織り込んで安値圏にあるだけにリバウンドするチャンスといえよう。
IT関連株反発の条件は、半導体の市況回復次第だが、漸く底入れの兆しがみえてきた。要注目である。
■URL
・記事
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/03/22/doc2340.htm
[内藤新二]
2001/3/23
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