【株買い上げ機構構想】
(15日日経朝刊)
金融庁が中心となり、与党3党が緊急経済対策に盛り込んだ株式買い上げ機構の推進に向け動き出したが、最大のネックになっているのが「機構が株式を再売却した時に損失が発生した場合、その損失リスクを誰が負うか」という点にある。
●決断しない政府がネック
本来、株式買い上げを政府として推進するならば、政府・内閣総理大臣の全責任において実行すべきものだ。昭和40年の共同証券保有組合において株式買い上げを実行した時も、内閣による超法規的対応により危機を回避している。今のネックはリスクが誰にあるかではなく政府の決断の無さにある。
この構想は、銀行・保険会社・一般企業などが出資しして機構を設立するため、そこで買い上げたリスクを誰が取るかという議論がでるわけで、このままでは実現への道のりはほど遠い。
とすれば、株式買い上げの仕組みを作るには (1)政府主導により「共同証券保有組合」のような独立した機構を作る (2)政府による元本保証の転換国債を発行し、個人金融資産を取り込むことで市場から株式を買い上げる など、政府の責任において実行するとの声明をしない限り、株式買い上げ機構構想は動き出さないだろう。
【2月の企業倒産、3か月ぶりに1兆円超】
(15日読売など朝刊各紙)
日米首脳会議後、日本の構造改革への外圧は一気に強まり、10年間繰り返されてきた「問題先送り」からの決別がせまられよう。
●4月以降、更に増加も
現在、銀行サイドでは3月末にはできる限り倒産を回避する動きを取っているが、新年度になるとUFJ、みずほグループなどに金融庁の検査が入り、資産、債権が相当に劣化しているものがあると判断されると、要注意債権に移されるものがかなり出てくると予測される。こうした動きから、不良債権処理への圧力は急速に高まり、4月以降、倒産の規模・件数はさらに増えてこよう。
かつて、ゼネコン・不動産・流通は、貸し手金融機関、政治との関係が大きく簡単に整理・再編はできなかった。しかし、4月以降整理は待った無しとなり、これらセクター株には一段の注意が必要となる。
フジタ(1806)、青木建設(1886)、富士工(1809)など、時価会計を考慮しない段階で債権放棄を受けた企業は、4月以降、厳密なる洗い替えが実施されるにつれ、再び波乱をおこす可能性がある。流通では、売却できる営業資産も少なく、1兆1,600億円もの有利子負債を抱えているマイカル(8269)の負債圧縮が、株式市場の関心事になるだろう。
【FINANCE Watchから】
●伊藤忠テクノサイエンス、コンテンツ配信でソリューション(14日)
伊藤忠テクノサイエンス(4739、CTC)の株価が続落している。12日に外資系証券が、同社はNTTドコモ(9437)の次世代携帯電話システムの受注に失敗し、2003年3月期にドコモ向け売上が大幅減少するとの予測で同社株を売りとした。株価は崩れておりこの材料も反応薄、しばらく調整か。
■URL
・記事
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/03/14/doc2274.htm
[袴田まさお]
2001/3/15
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