【1年延長、対象拡大~土地評価法改正案】
(8日読売朝刊ほか)
●自社株買い消却に有効
土地の評価益を自己資本に算入できる土地再評価法が3月末に切れるが、これを1年間延長することは、証券市場活性化という視点からみても大きな意味を持つ。
本法は、3年前に緊急避難的な金融機関の自己資本充実策として誕生したが、土地の再評価と、それを株式消却の財源とすることを定めた法律であることは意外と知られていない。この制度を累積損失を圧縮したり、債務超過を回避する手段として見るだけではなく、むしろ自社株買い消却する企業にとって、期間延長は大きなメリットになることを重視すべきだ。
企業が自社株買い(=同額の自己資本の減少)を行った後も、対外信用、つまり格付けを維持できるだけの自己資本残高を持つには、この土地の含み活用は極めて有効な手段だ。本法は、土地の評価益をオンバランス化させ、透明性を高めると同時に、評価益に対する法人税の課税は行わないため、自社株買いのための資金以外の資金流出はない。
「土地の再評価差額による株式買入消却機能」について、新聞記事ではこの点が欠落しているが、期間延長と同時にこのメリットを十分にPRし、自社株買いに踏み切る企業を増やしていくことが大切。持ち合い株解消売り対策として大いに注目すべきだ。
【不動産投資運用、2社に初認可~三菱地所と三井不動産】
(8日日経朝刊)
●ミドルリスク・ミドルリターンの投信
賃貸ビルなど不動産を投資対象とする不動産投資信託(日本版REIT)が本格的にスタートする。
REITは、投資家から集めた資金でオフィスビルなどを購入、賃貸料などを原資として投資家に配当するもので、国債などよりも配当利回りは高く設定し、ミドルリスク・ミドルリターンの投信だ。
米国ではREITは、1990年代に急成長、不動産取引を活性化させた。「会社型投信」は、99年末で210社が上場、その時価総額は1,400億ドル(約16兆円)。日本でも来年度以降、短期間のうちにREITを通じて不動産市場に流入する資金は4~5兆円と予想されている。
三菱地所(8802)が積極姿勢をみせる背景にあるのは丸の内開発。東京・丸の内の一等地に約30棟のオフィスビルを抱えているが、このリニューアル再開発には5,000億円の資金が必要だ。日本版REITが立ち上がり、直接市場から資金調達の道が拓ければ、手持ちのビルを設立するファンドに売却、これを現金化し、都市再開発に再投資するサイクルが一気に加速する。三井不動産(8801)も同様で、この2社の株価は上昇トレンドに入る。
【FINANCE Watchから】
●ニコン、光通信部品やナノテク事業に進出(7日)
半導体製造装置「ステッパー」で一成長期を築いたニコン(7731)で新規事業がスタートする。LSI表面を平坦化する研磨装置(CMP)は、ますます超微細化するLSI製造工程で飛躍的な伸びを見せ、同社の次ぎの成長を牽引する大型商品となり、ニコンに新しい中核事業が生まれた、と市場は評価しよう。
■URL
・記事
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/03/07/doc2203.htm
[袴田まさお]
2001/3/8
|