【個人の株、相続税対象外に~与党市場活性化策】
(7日日経朝刊ほか)
●“1,300兆円活用プロジェクト”のインパクト
与党は9日にも緊急経済対策を決定、低迷する株式市場の活性化策を盛り込む方針だが、これが実現されれば、東京株式市場の平均株価を5000円程度引き上げる大材料となる。
市場活性化への処方箋として今、政治決断すべきは個人金融資産1,390兆円を株式市場に向かわせるための“証券税制”の改革だ。
とりわけ注目されるのは、「個人が新たに取得した株式を相続税の課税対象から除外する『高齢者株式投資優遇税制』(仮称)の新設」(日経)。この結果、子孫への譲渡資産として株式は大きく見直され、預貯金から株式への資金流入を促す起爆剤となる。
長期保有を狙った株式取得に奨励金を支給する案も、株式の累投や従業員持株会にも適用することで、勤労者の株式取得への意欲を盛り上げる。配当の二重課税の撤廃も、もう一歩踏み込み、配当所得の大幅減税につなげれば、企業の持ち合い株が市場に放出されても、資金力のある個人がそれを購入し、市場が活性化されよう。
今回の株式市場活性化策のポイントは、個人金融資産の株式市場への流入を促すことに狙いを置いており、“1,300兆円活用プロジェクト”とも言うべき、最も効果的かつ市場が期待するもので、早期実行を求めたい。
【米マネー、株式離れの動き~MMF・債券へ流入急増】
(6日日経夕刊)
●健全性を取り戻しつつある米投資家
2001年を迎えて2カ月、米国投資家の動きに2つの特徴が見られる。1つは、個人投資家の債券投資へのシフト。もう1つは、株式投信運用者の間でITなど特定分野に偏った投資スタイルが減り、幅広いセクターから割安銘柄を選ぶ「バリュー投資」へのシフトだ。
これらの動きは一見、投資家がリスクを避けて屈み込んでいるように見られるが、実はそうではなく、投資家が健全性を取り戻しつつあるのだ。過去5年平均の投信資産に占める債券比率と比べれば、現在の債券シフトは「逃避」ではなく、99年第1四半期のレベルに戻る動き。この時期はまた、株式市場ではバリュー投資が機能し、実力のある企業の株価は正常な値をつけていた。
現在、米国投資家が再び債券とバリュー投資に回帰しつつあることは、IT熱狂という市場の機能不全を治す一段階で、近視眼的な危機感を持つのは誤り。米株式市場の再浮上に向けた正常な動きであり、市場が平静を取り戻しつつあると見るべきだ。
【FINANCE Watchから】
●Bluetooth用ベースバンドLSIを製品化~東芝(6日)
様々なデジタル機器を無線で接続するBluetooth技術は、次世代デジタル家電、次世代携帯端末、PCなどを有機的に動かす技術として、今最も注目されつつある国際ワイヤレス通信規格。通信関連株に底入れ感が見られ、この材料は徐々にテーマとして取り上げられるタイミングで、東芝(6502)も株価の底値に届いた。
■URL
・記事
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/03/06/doc2191.htm
[袴田まさお]
2001/3/7
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