【日銀、0.1%幅利下げ~景気の下ぶれ懸念】
(1日各紙朝刊)
日銀は28日の政策委員会・金融政策決定会合で、追加的な金融緩和策を賛成多数で決定。政策金利の柱である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0.1%引き下げ、0.15%とする公定歩合についても同幅引き下げ、年0.25%とし、3月1日から実施。
●日銀よ、ズケズケと物を言え!
公定歩合は9日の政策決定会合でも0.15%の引き下げを決めており、わずか3週間での再利下げとなるが、株式市場はあまり反応しないだろう。むしろ、日銀の危機意識の欠如が、遅れた政策を出してきたとの冷ややかさだけが残る。
米国のグリーンスパンFRB議長への信頼感がいまだに大きいのに比べて、日銀への信頼感は今ひとつ。この違いはどこからくるのか。
経済は複雑であり、金融政策で対応できることは限られている。グリーンスパン氏は、金融政策で対応できない問題-大幅減税や企業の競争力問題などへの対応-についても広く国民に提起し、しかるべき機関がそれに対応するよう誘導している。
だから日銀も、日本経済の最大の問題は不良債権であって、それは金融政策だけでは対応できない、政府がきちんと対応すべきだ、とはっきり言うべきだ。
バブル後最安値水準をつけた平均株価の反転の条件は、国内では不良債権処理への断固とした方針転換と、それに伴う銀行への公的資金の再投入、海外要因では、米国の追加利下げと大幅減税への道筋であり、当面、この内外の動きが最大の注目点である。
■URL
・記事
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/02/28/doc2140.htm
【「事業部門株」全面解禁へ~法務省が容認】
(1日日経朝刊)
企業にとっての新しい資金調達方法であるトラッキング・ストック(TS、会社の特定部門の業績を配当に反映させる株式)が全面解禁される見通しとなった。TSは、日本では例がなかったが、昨秋、子会社の業績に配当が連動するTSが一部解禁され、ソニー(6758)が第1号の発行を決めている。
●第1号はソニー
普通の株式は、企業全体の価値を反映するものだが、TSは一部の事業部門や特定の子会社などの業績だけを反映する株式。米国では、このTSをGMなど40社以上発行しており、ようやく日本でも解禁されることになる。
TSは、親会社が自社株を増資する形で発行し、一方、購入した投資家は対象子会社の業績に連動した配当を受け取る。ただ、会社の重要事項を決める議決権は、子会社にではなく、親会社に対して持つ。このため、優良子会社を持つ親会社は、他に不採算部門を抱えている親会社がやるより子会社単独で資金調達は有利な上、調達した資金は親会社に入るため、親会社の株主にとって有利となるため、このTSの発行は株式市場では好感されるのだ。
1月25日、ソニーはTS発行のため定款変更を決めた。出井伸之社長は、「TSの取引開始は、企業経営を変える」と述べ、東京株式市場そのものの活性化に貢献できると表明した。ソニーが一番乗りを果たすことで、現行の制度面での制約を一気に変えようとする道筋ができた。
同時に、ソニーのグループ戦略をさらに深化させ、企業と投資家が双方メリットを享受できる時代を誘引するもので、ソニーのマーケットに対する指導力の高さは高く評価されよう。
■URL
・日本初トラッキング・ストックの発行承認~ソニーが臨時株主総会
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/01/25/doc1781.htm
【FINANCE Watchから】
●KDDI、傘下の2研究所を4月に合併~トヨタも出資
KDDI(9433)はグループの研究開発体制を強化するため、4月1日付で「KDDI研究所」を発足させる。旧KDD傘下にあったKDD研究所と京セラ(6971)の京セラDDI未来通信研究所を合併させて発足させるもので、KDD研究所が存続会社となる。合併比率は、京セラDDI研株1株に対し、KDD研株0.944株を割り当てる。
新研究所は、トヨタ自動車(7203)、京セラとの提携を強化し、NTTグループとボーダフォングループの傘下に入る日本テレコム(9434)への対抗力を高めるのが狙い。KDDIグループはモバイル事業とIP(インターネット・プロトコル)関連事業の技術開発に集中できることでKDDIグループの企業価値を高められ、同社株の反発のきっかけに。
■URL
・記事
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/02/28/doc2134.htm
・ニュースリリース
http://www.kddi.com/release/2001/0227-1/index.html
・KDD研究所
http://www.kddi.com/research/index.html
[袴田まさお]
2001/3/1
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