【同時に民営化~JR3社最終合意】
(22日朝日など各紙朝刊)
政府保有の全株式を売却するJRの完全民営化問題が、「本州3社同時」で決着。時期尚早を唱えていたJR東海が、税制上の優遇措置などを講じることを条件に完全民営化を受け入れたためで、国土交通省は今国会にJR会社法の改正案を提出、今秋施行を目指す。
●規制緩和関連株の中核に
JR会社法の改正により、3社に対し代表取締役と監査役の選任、社債の発行、長期借入金、毎年度の事業計画の策定などに対する国土交通省の許可が今後は不要になる。JRの完全民営化は、欧米先進国から批判を受けていた日本の規制緩和の遅れを一気に解消する目玉として急きょ浮上してきたもので、今通常国会への法案提出は予想外のこと。JR3社には好材料だ。
経営上の制約が解かれ、経営の自由度とスピードが加速することで、JR3社は通信事業や駅の再開発、流通業への進出、さらには機動的な資金調達、他社との合併・買収、企業分割など、新たな事業展開への期待も高まってくるため、株式市場は率直に評価。規制緩和関連株の中核として、物色意欲を高めていくだろう。
JR東日本(9020)の強みは、生活習慣の中で毎日意識することなく、繰り返し人が来てもらえる「駅」という最大の経営資源を保有していることで、これを有効活用し、駅スペースを生活サービス事業の場にすることを最大の戦略としている。
新型ICカードの導入などで「駅」の価値を最大化するため、ITビジネスに積極的に打って出ることを可能にすることで、この完全民営化の貢献は計り知れなく大きい。
【ナノテク利用自動車用鋼板、NKKが実用化~世界初】
(22日読売など各紙朝刊)
NKK(5404)は、ナノテクノロジー(超微細技術)を利用して高い強度と加工性を両立させた自動車用高張力鋼板(ハイテン)の実用化に成功した。
●ナノテクで最先端をゆく日本企業
米国政府は、ナノテクノロジーに2000年会計年度2億7,000万ドル、2001年度4億9,700万ドルの予算を計上、多面的なナノテク取り組みをバックアップすべく、新しい「国家ナノテクノロジー戦略(NNI)」を最優先で立ち上げる方針を表明している。
日本は、このナノテク分野では世界の最先端を走っており、ナノデバイスやナノコンポジット(ナノ複合材料)などの応用分野では世界をリード。既にNEC(6701)が発見した「カーボンナノチューブ」は代表的製品である。
NKKが実用化に成功したハイテンは、ナノテクを駆使した新鋼板であり、世界の自動車用鋼板では画期的なものとして受け入れられる可能性は高く、21世紀の超未来技術の実用化を現実のものとしたことで、株式市場でも「ナノテクノロジー」関連が注目されるきっかけとなる。
【FINANCE Watchから】
●日立、電子行政対応の情報端末発売へ(21日)
日立製作所(6501)は、電子行政実現を見据えた情報KIOSK端末「Commiunity Station 3」を開発、自治体への売り込みを目指す。従来から実現していた住民票の写しや納税証明、印鑑登録証明書の自動交付に加え、ネットワーク化された住民票の写し広域交付やICカード対応を盛り込んだ。
IT国家戦略の要(かなめ)として政府が目指す「電子政府」が実現すれば、国・自治体と企業・国民の間で申請・届け出・入札などの手続きや情報の開示・交流がすべてインターネットを利用してできるようになる。
「電子政府」は、“国を活性化”する切り札である。21世紀最初の国家プロジェクトを進める関連企業群として日立の取り組みは早く、株式市場での「電子政府関連銘柄」としての評価は高まろう。
■URL
・記事
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/02/21/doc2061.htm
・ニュースリリース
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/0102/0220a.html
[袴田まさお]
2001/2/22
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