【日本企業の出願急増~国際特許】
(21日日経朝刊)
昨年の日本企業の国際特許出願件数は前年比29.6%増の9,402件。1万件の大台に迫る勢いで、特にIT関連企業の伸びが目立つ。
●国際特許出願で躍進するダイキン工業
複数の国で新技術の権利を仮押さえできる国際特許の出願は、将来の世界市場での勝ち組となる必要条件であり、先端産業分野、とりわけIT、バイオ関連での躍進が目立っていることは、日本の株式市場の長期展望において明るい材料といえる。
日本企業の国際特許出願トップ10社(日経1面に掲載)の中で第7位にランクされているダイキン工業(6367)は、意外性があり、同社の評価を高めるものとして注目。同社は、1994年から矢継ぎ早に経営改革を実施、タスクフォース(戦略部隊)やプロジェクトを次々と立ち上げた。組織の垣根を低くし、チームワークを強化、技術開発には外部の人材も導入するなど、全く新しい発想で取り組んできたことが、国際特許出願での大きな成果につながった。
ダイキン工業は、地球大気圏オゾン層を破壊するフロンガスに代わる新冷媒開発において世界のリーダーであり、フッ素化学技術では世界トップ水準にある。経営展開もグローバル化を加速しており、フッ素化学事業の海外比率は55%にまで上昇している。国際特許の出願は、同社の成長を牽引する戦略。トップ10入りで企業価値はさらに高まり、株価には大きなインパクトとなる。
【FINANCE Watchから】
●三菱化学、米カリフォルニア大と先端技術開発で提携(20日)
三菱化学(4010)は、先端機能材料と固体照明・ディスプレイの2分野で米カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)と研究開発提携を結ぶことで合意。UCSBは先端機能材料の分野では世界でもトップクラスにあるとされ、三菱化学は今後5年間にMC-CAMでの研究におよそ17億円を投資、研究成果を独占的に利用できるという。
三菱化学は年明けから研究開発体制の抜本的改革に着手、今回の提携はその第1弾。機能材料事業を重点成長分野として位置付け、高収益体質の定着・強化を狙っており、UCSBに研究開発費を投資する代わりに研究成果の独占使用権を得たことは大いに注目される。
同社株は、石油化学部門の収益悪化懸念から1月11日には254円の安値をつけたが、ドラスティックな経営改革と研究開発部門の改革が好感され、株価は戻り基調にある。今回の提携は、具体的な材料として株価後押し要因になるとみている。
■URL
・記事
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/02/20/doc2044.htm
・三菱化学
http://www.m-kagaku.co.jp/
・米カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)
http://www.ucsb.edu/
【FINANCE Watchから】
●東芝と独インフィニオン、次世代携帯のLSIシステムを共同開発(20日)
東芝(6502)と独インフィニオン・テクノロジーズは、次世代携帯電話向けのLSIのインターフェース仕様を共同開発。東芝のMPEG4画像圧縮伸張LSI「TC35273XB(T3)」と、インフィニオンのベースバンドLSI「M-GOLD」が対象で、動画像再生やテレビ電話機能などを盛り込んだ次世代携帯電話の実現を容易にする。
携帯電話の世界市場は、2006年までに18億台となり、このうち50%以上が次世代機になると予想されている。画像処理用LSIは、2001年から2003年までの累積出荷が3,000万個に達すると見込まれる成長市場だ。東芝はこの提携で、基幹LSIシステムを完成させ、同時にこれを搭載した携帯端末(PDA)市場に参入することを表明しており、安値水準の株価には反転材料。
■URL
・記事
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/02/20/doc2045.htm
・ニュースリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2001_02/pr_j1901.htm
・東芝
http://www.toshiba.co.jp/
[袴田まさお]
2001/2/21
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