日本証券業協会は、第2回株式委託手数料実態調査を実施した。前回は、1999年10月1日の委託手数料完全自由化後、1年以上経過した2000年12月末時点で実施したが、今回は前回結果とあわせて自由化後の手数料推移を把握するため、2001年1月10~26日にかけて証券会社297社、機関投資家249社を対象にアンケート形式で行った。回答社数は、証券会社200社(回答率67.3%)、機関投資家142社(同57.0%)。
証券会社に対しては、対面取引、FAX・電話による通信取引、オンライン(インターネット)取引の3つについて、対外的に公表している標準的な手数料設定方式、手数料率・手数料額、割引制度について調査した。
それぞれ取引形態別に約定代金ごとの手数料率を比較すると、前回調査時と同様に全体的には対面取引、通信取引、オンライン取引の順に低くなっている。平均でみると対面取引に対して通信取引は8割程度、オンライン取引は4割程度になっている。
手数料率の平均を前回調査時の水準と比べると、対面取引はほぼ同水準で、通信取引は9割程度、オンライン取引は8割程度の水準になっている。
また、自由化前の水準と比較すると、全体的には対面取引は9割程度(前回調査時では約9割程度)、通信取引は約6割強(同7割)、オンライン取引は3割(同4割弱)の水準。
証券会社が対面取引と通信取引で実施している顧客サービスとしては「情報提供」が最も多く、ほかに「各種セミナー・講演会等への案内」、「資産管理サービス」などがある。オンライン取引における手数料割引制度としては、取引回数や預かり資産額による割引、系列カード会社会員に対する割引がある。また、オンライン取引に係る手数料をアップすることにより顧客に投資関連情報等を提供する証券会社もみられる。
各取引における手数料率(%)
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一方、機関投資家に対する調査では取引頻度の高い2社の証券会社から提示されている手数料設定方式、手数料率・手数料額についてアンケートを実施した。
機関投資家に係る手数料率は、約定代金1億円までは最大値が0.8%程度、平均が0.2%程度、最小値が0.09%程度と、約定代金にかかわらずほぼ一定。約定代金1億円超については、約定代金が増加するにつれて緩やかに低下している。
約定代金ごとの手数料額の平均をみると約定代金が500万円までは1万円以内となっており、約定代金が5,000万円を超えると10万円を上回り、約定代金が5億円を超えると50万円を上回っている。
前回調査時の水準と比較してみると、最大値においては約定代金が3,000万円~1億円の場合を除き昨年の水準を下回っている。平均と最小値についてはどの約定代金の場合でもほぼ昨年並みの水準。前回調査時からの変化としては、いずれの約定代金においても「昨年と同じ」との回答が8割近くあり、「下がった」との回答は1割程度となっている。
■URL
・「株式売買委託手数料調査」の調査結果について
http://www.jsda.or.jp/html/oshirase/tesuuryou/index.html
(別井貴志)
2001/03/21
15:13
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