第一勧業・富士・日本興業の3行が主体となって、昨年9月末に発足したメガバンク「みずほフィナンシャルグループ」。2002年春に向け、3行を持ち株会社の子会社とした上で、リテール(個人顧客向け)銀行、ホールセール(法人顧客向け)銀行、インベストメントバンク(投資銀行)などに再編成する準備を進めている。しかし、実際には「3行の統合作業は、あちこちでデッドロックに陥っている」(関係者)状況。傘下のある証券会社は「グループの証券戦略が固まらないと、生き残り競争へ動けない」(幹部)と焦りの色を隠せない。
●グループ連携の難しさ
みずほグループの関連証券会社は、3行の証券子会社だった富士・第一勧業・興銀の3証券が合併したみずほ証券、興銀系だった和光、新日本の両証券が合併した新光証券(8606)、旧勧角証券が合併して名称変更したみずほインベスターズ証券(8607)の3社。
このうち新光証券は、個人向けから法人向けまでフルライン営業を展開。また、みずほ証券は、3行の影響力をバックにした法人顧客向け証券で、みずほインベスターズ証券は、個人顧客向けの色彩が強い。
みずほ証券とみずほインベスターズ証券は、一見すみ分けができているようにみえるが、グループ内からは「本来、ひとつの流れにある法人・個人向けを切り分けて営業を行うのは難しい」との声が漏れてくる。ひとつの証券が分社化したわけでなく、顧客層も違うため、営業の連携には難しさも付きまとうようだ。
●新光証券への警戒感も
また、みずほ証券は、全国に支店を持たないため、みずほインベスター証券には「日々の顧客のケアはうちがやらされて、おいしいところだけみずほに取られるのではかなわない」との不満がある。
一方、興銀色の強い新光証券についても、「グループ内では少し違う立場。法人と個人向けのフル営業で自由にやってるのに、みずほグループのメリットだけ持っていくようなら問題だ」との警戒感が他2社にはある。
証券界の一部では、みずほ証券とみずほインベスターズ証券の合併の可能性も取り沙汰されているが、グループ内のある幹部は「グループ3行による統合へ向けた調整作業が混沌とする中では、そうした証券戦略など描けない」と指摘する。
株式相場低迷や手数料引き下げ競争で証券会社の経営環境は厳しい。体力強化へ一刻を争う時に、みずほグループの傘下証券は、互いに牽制し合いながらも、統合作業の遅れにやきもきしている。
■URL
・みずほグループが発足~世界最大の金融グループに
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/09/29/doc560.htm
・みずほフィナンシャルグループ(再編マップ)
http://www.watch.impress.co.jp/finance/map/note/mizuho.htm
(小城高雄)
2001/03/12
11:07
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