マネックス証券(8626)は、投資家からの要望が多かったミニ株の取り扱いを開始するなど、今後予定している新サービスの展開について明らかにした。
●夜間取引に板情報の一覧表示機能
まず、早ければ来週にも夜間(時間外)取引「マネックスナイター」の機能を拡充する。現在、夜間取引の注文状況を見るには各個別銘柄の注文画面をひとつひとつ開く必要があり、売り買いが建っているかどうか把握するには手間がかかっていた。これを使いやすくするため、売り・買いの注文状況(板状況)を単位数順もしくはコード番号順に上位100銘柄ほど一覧表示させる。
松本大社長は「売買状況がひと目で把握できることで、利便性が高まり夜間取引の商いが2倍程度に膨らむと期待している。現在、全注文件数に対する夜間取引の約定率はおよそ2%だが、米国の同約定率4~5%を早期に達成できそうだ」と自信を示した。
マーケットメイク方式で夜間取引を行っているDLJdirect SFG証券の商いと比べると、圧倒的にマネックスの取引が多くなっている。夜間取引の1日あたり平均注文件数はマネックスが517件、DLJが58件とマネックスが約9倍。同約定件数は139件対9件(同15倍)、同約定代金は6,797万1,184円対1,689万6,787円(同4倍)となっている。ちなみに、夜間取引のみの約定率は平均で27.0%対17.3%。
終値1本値によるマネックスの夜間取引に参画を表明しているのは今川三澤屋証券と丸三証券の2社で、早ければ5月にも開始できる見込み。この2社以外にも6社ほど参画の打診があるという。そのなかには、DLJの夜間取引に参画を表明している証券会社も入っているようだ。
●ミニ株が登場、金額指定の積立型投信も
4月初旬頃のスタートを計画しているのが、毎月指定した金額を買い付けできる積立型の投資信託。指定金額は1万円以上1円単位で、「マネックス・日本成長株ファンド」(愛称:ザ・ファンド@マネックス)をはじめ、インデックス・ファンド、国内ファンド、米ドルMMFなど8本の投信で開始する。対象銘柄数は順次増やしていく。
また、顧客からの要望が非常に多いミニ株も4月中に取り扱いを開始する。野村証券(8604)や大和証券グループ(8601)のミニ株を扱うのではなく、自らがポジションを持って独自に行う。銘柄数は50銘柄程度でスタートし順次増やしていく。
証券会社がミニ株を扱う上で最も問題となるものに「株主優待物」がある。企業によっては、株主に対して食品や商品、ギフト券などを割り当てるが、ミニ株の場合はいわゆる端株取引と同様の仕組みとなるため単位株に満たない株数を保有する投資家がいるわけで、それらの投資家は優待物を受け取ることはできない。基本的なルールでは、証券会社がそれらを換金しミニ株保有者にもその分を還元しなければならない。以前よりルールは緩和されたようだが、証券会社が実際にミニ株の投資家に還元しているかどうかは懐疑的な状況だ。この点について松本社長は「マネックスらしい還元の方法を考えており楽しみにして欲しい」と説明している。
●セゾンカードと郵貯のネットワークに接続
マネックスは、株式交換によりクレディセゾン(8253)の子会社であるセゾン証券を4月1日付で完全子会社化し、6月30日をめどに吸収合併する計画になっている。これに合わせ、セゾンカードとの提携によるクレジットカード機能付きの「マネックスカード」を5月以降に投入する計画で、4月上旬に発表する。同証券の総合口座で決済が可能となり、全国に約1,000台あるセゾンカードのATMから引き出すこともできる。このカードで買い物などをした場合もマネックスポイントが付与され、一定ポイントが貯まると商品と交換可能だ。
さらに、郵政事業庁とも6日に提携で合意、10月からは郵貯のATM網も使えるようになる。
●“普通人”が投資するためのプラットフォームに
これら夜間取引、積立型投信、ミニ株、クレジットカード、ATM利用など新サービスの展開について松本社長は「単位株制度問題の解消など、いずれ日本でも投資がもっと一般的になるだろう。今回の新サービスがリリースされれば、ごく普通の人が投資する場合のプラットフォームとしての機能がとりあえず整うかたちとなる。合併後は16万超の口座を有し野村、大和に次ぐ3番目規模のオンライン証券会社になるが、生活口座として利用されるよう今後も努力していきたい」と語った。
夜間・時間外取引の比較 |
注文件数
|
約定件数
|
約定代金
|
夜間取引の約定率
|
■URL
・マネックス証券
http://www.monex.co.jp/
・マネックス新サービス
http://www.monex.co.jp/free/Announce/2001/20010228.html
・マネックスの夜間取引活発に~初日の売買代金はDLJの2.5倍
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/01/29/doc1821.htm
・マネックス証券が顧客の税務申告サポートツールなどを提供
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/02/26/doc2109.htm
・DLJが夜間取引を23時30分まで延長~対象銘柄も309に
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2001/03/05/doc2182.htm
(別井貴志)
2001/03/07
17:21
|