情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●「側近に伝えた」ホントかな?
「森首相、辞意固める」。きょうの朝日の大見出しである。打たれ強いというか、強気一辺倒だった森サンだけに、「ホントかな?」と疑いたくもなるが、朝日によれば「6日までに自民党首脳や側近に伝えた」と報じている。事実ならば朝日のスクープだが、読売は「首相辞任、12日表明で調整」、産経も「森首相いぜん強気、円満退陣悩む引導役」という記事は、番記者の単なる作文か?ただし、辞めるタイミングは「新年度政府予算案と関連法案の成立を待って退陣」というから、4月以降、既定路線と変わらない。
◇その読売、どこかの政党新聞かと思わせるような「社説?」を1面トップで載せている。テーマは「デフレ阻止へ緊急提言」。
「新内閣で経済停滞を打破せよ」「不安心理と景気悪化の悪循環を断て」「日銀は金融緩和を断行せよ」「金融システム不安を再燃させるな」「日本経済復活のシナリオを示せ」「株式市場再生に総力を結集せよ」という6項目の提言は目立つカラー刷りで、「国民と市場の信頼取り戻せ」「政治の混迷断て」というのがポイントだ。さすが世界一の発行部数を自慢する“ハイクォリティペーパー”、庶民の「不満の声」を集大成してくれるのはいいが・・・。
◇毎日と東京は「外務省機密費流用事件」の新事実。
毎日によると、豪州大使館員が公金200数十万円を流用していたにもかかわらず、内部査察で処分を見送っていたという。機密費などの公金をプールする「スペシャルファンド」と呼ばれる銀行口座から、小切手を勝手に持ち出して妻の乗用車1台を購入したというセコ~イ記事。
それに比べると、ダイナミックなのは松尾克俊・元要人外国訪問支援室室長。使途不明金は5億円以上にのぼっているそうだが、警視庁はこれまで業務上横領容疑で調べていたが、官房機密費をだまし取ったとする詐欺容疑での立件が妥当と判断、詰めの捜査を急いでいる、と東京が報じている。詰めの捜査とは?
「小和田家への御祝儀?のこともみんなばらすぞ」と、松尾元室長が「捕まえるなら捕まえてみろ」と開き直る姿が目に浮かぶ。
◇産経は、朝日新聞と紙面上で激しいバトルを展開している「歴史教科書」問題。中国の唐外相が、この問題での「重大な懸念」を表明、出版させるかどうか「最後は日本政府が決めることだ」と、内政干渉とも受け止められる発言をしたという会見記事を取り上げている。
◇日経は、自民など与党3党が取りまとめる「緊急経済対策」の検討項目の骨子。このうち株式市場活性化策では、個人の株式投資を促すため、新たに取得した株式を相続税の課税対象外とするなどが柱。
きのうは東証の平均株価が急伸したが、「株価がさらに上昇するには材料が乏しい」(大手証券)という見方が根強い。与党の緊急対策も結構だが、当面の株価対策は「森サンの円満退陣」が先決では?
【経済・IT】
●大丈夫?「J-フォン」息切れ・・・
日本テレコム(9434)傘下の携帯電話会社「J-フォン」が、今年12月に予定していた「次世代携帯電話」の国内サービス開始時期を来年6月に延期する(産経)。統一規格の関連設備の開発が間に合わなくなったのが理由という。次世代携帯電話サービスはNTTドコモ(9437)が、この5月から開始する予定で、スタート時点で1年以上の時間差をつけられることになる。巨象とアリ、しょせん相手にならない競争とは思っていたが、「マイライン」獲得も苦戦とか。経営自体の息切れも心配?
◇怖いもの知らずのNTT(9432)だが、固定電話によるインターネット接続サービスの「Lモード」のサービス開始も大幅にずれ込む可能性が高い(日経)。総務省が開いた公聴会で「当初の計画を修正しても独占力がさらに強まる」と強い批判が出たためだ。NTT法改正の秋口まで延期は必至とみられる。
◇富士写真フイルム(4901)は、米ゼロックスと折半出資の富士ゼロックス株のうち、米ゼロックス保有株の半分にあたる1,000万株を1,600億円で取得すると発表(読売)。持ち株比率は75%に引き上げられる。事実上の経営テコ入れだ。
ゼロックスといえば、コピーの代名詞だったが、IT革命でオフィスはペーパーレス時代に突入。コピー用紙が稼ぎ頭の複写機メーカーは痛手を受けるのは当然。これからは成長市場の家庭用プリンター事業などを強化するそうだが、近く上場予定の1兆円企業「エプソン」の牙城をどこまで崩せるのか?それにしても、プリンターのインクカートリッジの価格が高過ぎる。コピー用紙で客離れは懲りていると思うが・・・。
【トピック】
●ケータイが取り持つ?親子の会話
結婚披露宴で23.9%、立食パーティーで15.7%、農水省が実施した「食品の食べ残し調査」の結果である(産経)。“ジミ婚”世代は食い気より色気?を好むことがデータでも裏付けられたが、一般家庭売の平均が7. 7%、高齢者世帯の方はロス率が少ないというのもうなずける。
◇小・中学生の4人に一人が携帯電話かPHSを持っていることがNTTドコモ(9437)の調査でわかった(毎日)。「携帯は、今の生活に絶対必要」と答えた人も半数近くいたという。我が家も中学生の娘がいるが、最近はケータイでの会話が増えてきた。情けない。
一方、小学校の教室や職員室と家庭などをネットワークで結ぶ地域一体化の教育プロジェクトが、今秋から東京・三鷹市で始まる(読売)。家庭に居ながらにして「授業参観」もできるそうだが、これで小学生はケータイ片手に自宅学習も可能。何でも便利になるのはいいが、オジサンは、怠け者が増えそうなのが気掛かりです。
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/03.htm
2001/03/07
09:18
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