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(左から) 若山健彦 副社長 松尾泰一 社長 河野貴輝 執行役員
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少額決済に特化したネット専業銀行「イーバンク銀行」の設立を準備している日本電子決済企画は6日、金融庁へ銀行免許の予備審査を申請したと発表した。免許の認可を経て今年6月にサービスを開始する予定。当初の予定では、昨年10月に銀行免許の申請を行い、今年の初めには開業を目指していたが準備がズレ込んだ。
日本電子決済企画は、イーバンク銀行設立準備会社として昨年1月14日に資本金4億円で設立された。その後、第3社割当増資を重ね現在の資本金は35億5,110万円。開業までにはあと1、2回の増資を行い資本金を約80億円程度に増資する計画となっている。
株主は伊藤忠商事(8001)、住友商事(8053)、日本テレコム(9434)、ヤマト運輸(9064)、Ericssonなど多数で、基本的に株主は事業協力も行うパートナー企業の位置づけとなる。出資比率は非公開ながら、特定の大株主は持たずに出資比率10%以下で幅広い企業に戦略的パートナーとして参画してもらいたい意向。
業務はインターネット上のショッピングサイトなどでの支払いに利用できる少額のネット決済サービスを提供する。決済業務に伴う手数料収入が大半で、通常の銀行業務である融資や預金に伴う収入はほとんどない。開業時はパソコンによる決済だが、2カ月後ぐらいからは携帯電話による決済も行う。
また、同社はオンライン上で消費者や企業がメールアドレスを利用して相互に送金できるオンライン決済システム「ペイパル(PayPal)」を米国で提供している米国ペイパル社と独占的業務提携に関する基本合意を2月に締結しており、このペイパルサービスも日本で8月から開始する予定になっている。米国では1999年10月にサービスを開始して以来、毎日2万人以上が新規口座を開設し現在600万口座以上あるという。
このほか、リアルの世界でも携帯電話を使って自動販売機や自動改札の決済(支払い)を行うことができるサービスや、携帯端末同士での送金サービスなどをEricssonとともに開発していく。
口座を開設する場合にはWebや携帯電話を利用して行う。通帳やカードは発行されず印鑑・捺印も必要としない。口座を申し込むと簡易書留を発送して本人が実在するかどうか確認するという。既存銀行数行と現在提携交渉しており、その提携銀行のATM網を活用できるようにする。
システムのセキュリティーは万全にするが、安心して利用してもらうために何らかの事故が起きたことも想定し、1口座あたりの預金残高の上限を50万円程度とする。事故が起こった場合でも、株主である三井海上火災保険(1752)の保険により残高の満額が補償される。預金金利は、他行の金利よりも0.5%程度上乗せする予定で、口座維持管理料は徴収しない。決済は、1回あたりの決済額を原則10万円とするが、旅行などをネットで申し込むときなど例外も設ける。
目標口座数は3年後に150万口座、5年後に300万口座で、5年後の取り扱い総額は5,000億円程度を目指す。3年後には黒字化を見込み、2005年の純利益は30~50億円程度を計画している。コアのユーザー層は20~30歳代で、1件あたりの平均決済額は約3,200円、1口座あたりの平均預金残高は約4万円とみている。
エキサイト、ライコス、ぴあ、ニッセン(8248)、翔泳社(9478)、おりこんダイレクト(4800)などとすでに決済サービス提供で交渉しており、開業時には大手企業50社程度のコンテンツやサービスで決済サービスを提供する予定。イーバンクと同時期にソニー銀行も営業開始する予定で、先発のジャパンネット銀行を合わせネット専業銀は3行となる。
会社概要 |
サービス概要 |
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■URL
・イーバンク銀行(日本電子決済企画)
http://www.ebank.ne.jp/
・イーバンク、メールで送金できる「ペイパル」サービスを8月開始(INTERNET Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2001/0216/paypal.htm
・少額決済のネット銀「イーバンク」が3回目の第3者割当増資
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/10/13/doc694.htm
・少額決済のネット専業銀行「イーバンク」、来年初頭の開業へ向け準備(INTERNET Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0425/ebank.htm
(別井貴志)
2001/03/06
19:49
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