情報は時とともに劣化する・・・
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●居座ったらどうする?
はじめから否決覚悟の内閣不信任決議案。そうと分かっていながら、「もしかして」と期待を寄せつつ、NHKの国会中継に2時間も付き合ってしまった自分が情けない。
戦略も戦術も欠いた野党提出の不信任決議案は、「賛成192票」「反対274票」の大差で否決された(毎日)。昨年11月の「加藤政局」時と比べ、反対(信任)票が40票近く増えるという奇妙な現象も見られたが、<表で「信任」、裏で「森降ろし」>(東京)の流れは変わらない。「内閣の信任を得たということではないか。責任をもって私がやっていかなければならないということではないか」と、依然強気を装う森喜朗首相。滑稽さが際立つが、ご本人はいま、どんな心境か。
失言は多々あったが、枝葉末節。目くじらを立てるほどのことじゃない。それに、「失政はなかった」と呉越同舟の盟友、亀井静香政調会長も言っている。支持率が低いのは、悪意に満ちたマスコミ報道のせい。国会でも信任された。辞める理由など全くないじゃないか!
森首相の胸中を忖度すると、こんな感じか。だから、身内からも「辞めろ!」コールが上がり、自民党の地方組織の半数を超える「25都道府県の幹部が、夏の参院選までに『退陣すべきだ』と明言」(朝日)しても、馬耳東風でいられるのだ。
森首相の「進退問題」のヤマ場は、13日の自民党大会。「大会前に、首相が退陣表明する」とのシナリオを実現するためには、誰かが首相の首に鈴をつけなければならない。
<自民党幹事長、首相に退陣促す意向>(読売)
読売、産経、東京の3紙は、古賀誠幹事長が説得役を買ってでる意向を固めたと、トップで報じているが、「首相は政権維持に改めて強い意欲を示していることから、古賀氏の説得を受け入れるかどうか即断できない情勢だ」(産経)とも。
与党幹部は、「今回の『不信任否決』を『首相信任』とは別個と解釈し、森喜朗首相を交代させる考え」(東京)というが、森首相に「常識」は通じない。前述したように、早期退陣の流れを速めるために不信任案への反対票が前回より40票近くも増え、「国会内での『支持率』は56%から59%へと増加した」(朝日)。この「矛盾」を、首相が逆手に取ることもあり得る。
一方、こうした与党の迷走ぶりを「滑稽に過ぎる」(民主党の鳩山由紀夫代表)と嗤う野党も情けない。「世論」を背に「森降ろし」に打って出たにもかかわらず、多数派工作もできぬまま最後の弾(内閣不信任案)を撃ち尽くしてしまったのだから。
政界再編をしたところで、リーダーに相応しい人物が現れない限り、政治の浄化は期待できない。が、現在の政党の枠組みが続く限り、次元の低い政争から抜け出す手立てがないことも事実である。
◇米GMが日本国内でEC(電子商取引)事業に参入。出資先のいすゞ自動車(7202)などと共同で4月にも合弁会社を設立、第1弾として新車のネット販売を開始するという(日経)。
【経済・IT】
●破竹の勢い
NTTドコモ(9437)の「iモード」の累計加入台数が4日、2,000万台を突破した(各紙)。サービス開始から2年。1,000万台からわずか半年での倍増は、まさに破竹の勢いだ。
「歴史が浅く競争の激しい移動電話は世界的に規制が緩いのに、ここへ来て規制を強化するのはおかしい」。朝日のインタビューに応じた立川敬二社長は、「支配的事業者」としての規制が検討されていることにこう反論する。が、NTTドコモを、ライバルの新規参入事業者と「公平」に扱うことが「公平」な競争になるとみる向きは少ない。
◇円安が加速している。5日の東京市場では1ドル=119円台と、約1カ月半ぶりの水準まで円が売り込まれた。
内閣不信任案の否決も相場には響かず、日本経済の厳しい状況も変化なし。「当面、もみ合いながらも120円台をにらんだ展開が続くという見方が市場関係者の間で強い」と、毎日が報じている。
◇日銀が5日公表した1月19日の政策委員会・金融政策決定会合の議事要旨によれば、9委員中6委員が、政策金利の引き下げや弾力的な政策対応を促す発言を行っていたことが判明した(各紙)。
この日の議論が、2月の2度にわたる利下げ決定の伏線となったことは確実。最高意思決定機関とは名ばかり、日銀執行部(総裁+2副総裁)に歩調を合わせるだけと思っていた中立委員の間に微妙な変化が出てきたようだ。
【トピック】
●またぞろデノミ論
日経によれば、連立与党が9日にもまとめる緊急経済対策で、円のデノミネーション(通貨の呼称単位の変更)を検討しているという。
デノミは通貨の国際的な地位を引き上げる際の政策手段である。景気刺激効果を期待する向きもあるが、それによって潤うのはごく一部の業種。大半の業種にとってはコスト増要因でしかない。
まして、景気が低迷している状況で打ち出すのは愚の骨頂。不景気になると、自民党は決まってデノミに触手を伸ばすが、ハッキリいって「バカのひとつ覚え」である。どうやら、この連中には「付ける薬」がなさそうだ。
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/03.htm
2001/03/06
09:15
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