FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~「不信任案 」否決でも・・・

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●訪米日程も依然難航中
  民主、自由、共産、社民の野党4党は、きょう5日、内閣不信任決議案を衆院に提出するが、連立与党などの反対多数で否決される見通し。

  だが「与党内の首相退陣要求はさらに強まり、後継の調整は週明けから本格化する」と、森首相が自らの進退について、最終判断する見通しであると、読売がまるで「国民の声」を代弁するかのように、大きく取り上げている。これで株価も?

  一方、米海軍は5日(日本時間6日未明)「えひめ丸」に衝突した事故で査問会議を開く。ワドル前艦長は沈黙から一転して真実を証言する意思を表明、行方不明者の家族らへの謝罪を示す一方で、査問会議での証言に免責を求める「司法取引」という法廷戦術の動きをみせている、と産経が報じている。

  その産経によると「えひめ丸」の引き揚げや補償問題などを要請する日米首脳会談の日程が、飛び石連休の19日で調整に入ったという。読売は「依然難航中」。首相が13日の自民党党大会前を強く求めていたというがその線は消えそうだ。日米首脳会談も、退陣表明の時期をめぐって微妙な影響を与えそうである。

  ◇毎日は、首相官邸が、外務省の外交機密費から資金を吸い上げる「上納システム」の全容を明らかにしている。上納総額は年間約20億に達し、官邸は正規の官房機密費(16億2,400万円)を上回る公金を別枠で自由に使える仕組みになっていたという。この記事の最後に、6日朝刊から「国家のウソ、機密費疑惑」を連載すると予告をしている。「松尾前室長がなぜ逮捕されないのか」など核心部分に踏み込んだ疑惑を解明してくれるのか。総力取材の連載企画をとりあえず注目してみたい。

  ◇朝日と東京は、歴史観を「自虐的」と批判する「新しい歴史教科書をつくる会」の関連記事。文部科学省側が137カ所に上回る検定意見をつけ、筆者側はすべての部分で修正に応じたという。

  ◇法務省は大手企業などの倒産手続きである会社更生法の改正案づくりに乗り出す、と日経が報じている。企業の破綻処理をより迅速、円滑に進めるのが狙いで、来年内にも改正案を国会に提出する方針というが、それまで不良債権を大量に抱え込んだ会社の体力が維持できるかどうか・・・。

  昨年倒産した企業の負債額は約24兆円。戦後最悪だった98年を約10兆円も上回っている。きのうもトラック輸送の「フットワークエクスプレス」(大阪)が息切れして倒産した。

  【経済・IT】
  ●「ゲノム創薬」へIT融合
  「ゲノム創薬」(人間の遺伝情報を基にした新薬開発)やタンパク質解析などの研究開発分野で、バイオ産業とIT産業の融合が注目されているが、三菱化学(4010)と富士通(6702)が包括提携することで基本合意。きょう5日発表すると、毎日がスクープ報道している。バイオインフォマティクス(生命情報工学)の分野では、国内外の情報関連企業から解析ソフト・装置を導入するケースが増えているというが、今回の両社のような広範囲の提携合意は例がなかった。

  ◇野村証券(8604)も持ち株会社体制に移行する見通し(日経)。グループを挙げた経営改革の柱で、機動的に事業再編できる体制を整え環境の変化に対応するのが狙い。株安で経営環境は逆風が吹き荒れている中での決断だが・・・。

  ◇政府の規制改革方針をまとめた「規制改革推進3カ年計画」が明らかになった(読売)。NTT(9432)の持ち株会社制度の廃止や、受信料制度の見直しを含めたNHKの業務範囲の再検討が柱。このうち、NTTの改革は「独占状態が続けば、日本はIT後進国になってしまう」という強い危機感からだが「グループの解体につながる見直しはIT革命の支障となり、日本の国際競争力も低下させるだけだ」(宮津純一郎・NTT社長)と強く抵抗。計画実行には政治のリーダーシップが問われることは言うまでもない。

  ◇インターネット上でのホームページの住所を表す「ドメイン」で、新タイプの登録サービスが相次いで始まると、日経が報じている。「.ai」「.tv」「.cc」など、これまでの「.jp」だけではなくなる。ドメイン名がネット時代の重要なブランド資産になってきたことから、ドメイン名ビジネスが白熱してきたという。

  【トピック】
  ●「サッカーくじ」は貧乏くじ?
  3日から全国発売されたサッカーくじの初日の売上げが5,422万円。「テスト販売を下回り、出足はそろり」と朝日。産経は関係者の話を載せて「まずは順調なスタート」という見出し。どっちを信じていいのかわからないが、東京は、苦し紛れか金額だけを掲載し、コメントは一切なし。筆者はその隣の記事「おかえり」ハイセイコーという見出しで、中山競馬場に建てられたの銅像のスナップ写真の方が興味深い。サッカーくじ、暇人にはいいが、あんなに多くのチームの勝ち負けを予想する暇はない。

  ◇一国の総理のイスをトトカルチョで決めるのは不謹慎だが、こちらも「ポスト森」がはっきり読めない。そのキーマンとして青木参院幹事長の動向に注目が集まっていると、読売が「青木氏の本音」を取り上げているが、この記事からも、何がなんだかさっぱりわからない。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/03.htm

2001/03/05 09:12