情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●「KSD」疑惑も“ぬか(額賀)にクギ”
「疑惑は全く事実無根」「資金を受け取ったのは私設秘書で、秘書が計1,500万円を預かったが、返却させた」。きのう国会は、衆院政治倫理審議会で額賀福志郎前経済財政担当相に対する審議を行ったが、一連の「KSD」疑惑を全面否定した。
毎日、産経、東京が1面トップで、「弁明骨子」とは名ばかりで、言い訳だけを詳細に取り上げているが、まさに「ぬか(額賀)にクギ」、何の効果も上がらず、時間の無駄使い。これでは全く疑惑は晴れない。野党側も引き続き衆院予算委員会での証人喚問を要求するそうだが、例によって「秘書が、秘書が」という弁解は、もう聞きたくもない。
◇「森内閣支持率8.6%に急落、歴代2位の低さ」「国政不満も20%」(読売)。きのうは毎日の全国電話世論調査で、「内閣支持率がこれまで最低の9%に低下した」と報じたが、きょうは読売が世論調査の結果を取り上げている。1日違いで0.4%も低下するのかと思ったら、読売とほぼ同じタイミングに実施した産経の世論調査は「6.9%」、さらに共同通信社は「6.5%」(東京)。消費税なみの「5%」を下回るのも秒読み段階。「国民の我慢も限界だ」と読売政治部長の論説記事を1面トップで掲載しているのもユニークな紙面構成だが・・・。
◇その森政権の退陣コールが一段と強まる中で、朝日は「首相退陣、4月で調整、自民総裁選を実施」と報じている。自民、公明、保守の連立与党3党執行部も「予算成立のめどがついた時点で首相に進退を判断させることになる」とも。
ドサクサに紛れて、あの自民党の山崎拓・元政調会長が「密室で選ばれ、一人しか立候補しないなら、(対抗馬として)私が立つ」と総裁選に出馬する意欲を表明(読売)。山崎氏と言えば忘れもしない前回の加藤紘一・元幹事長の“クーデター”未遂に協力した人物。退陣のタイミングと同様に、後継者レースも混沌としているようだ。
◇日経は、政府が昨年末にまとめた「IT基本戦略」の具体的な重点計画案を取り上げている。NTT(9432)の通信網を使わなくても高速ネットが実現できる無線方式のネットを後押しするため、2001年中に通信事業者に新たな周波数を割り当てる方針だという。
【経済・IT】
● 率先垂範に欠ける三菱首脳
リコール隠し問題などで経営が悪化している三菱自動車工業(7211)が、新たな経営再建計画を発表した。新たなと書いたのは、今回が「3度目」の再建策だからだ。
「ターンアラウンド(巻き返し)」と呼ばれる再建策だが、9,500人の人員削減や乗用車生産の大江工場(名古屋)の閉鎖、高級車「プラウディア」「ディグニティ」の生産中止などが骨子。資材の購入コストの削減目標を15%と控え目に設定するなど「無難な線に抑えた印象がぬぐえないほか、目標達成までのプロセスも依然として不透明」(毎日)。相も変わらず三菱らしい “甘え体質”が随所に垣間見られる。
筆者もきのうの記者会見に出席したが、ご自慢のラリーカー「パジェロ」を展示したり、「パリ・ダカ」レースのビデオ映像を延々と流したりして、これが痛みを伴う「リストラ計画の発表会場?」と思われるほど、緊張感に欠けていたという印象を受けた。そう言えば資本提携先のダイムラークライスラーから派遣されたCOO(副社長)のエクロート氏の東京・広尾の高級マンションの家賃は月額300万円とか。社宅を追われリストラの対象になる社員をこれからどうやって説得するのかお手並み拝見だ。
せっかく、毎日のように公用車で出勤し、腐敗体質の病巣にもなっていたやっかい者のご長老を追い出すための「顧問制度」を廃止するというのに・・・。
◇一方、フォード傘下で再建中のマツダ(7261)は早期退職優遇プランに応募者が殺到、募集人員の1,800人よりも400人以上も上まった (産経)。人事担当者は「うれしいのか悲しいのかわからない」悲鳴を上げているそうだ。
◇日本ワープロ検定協会が、協会名から「ワープロ」を外し、「日本情報処理検定協会」に社名変更する(読売)。パソコン急増のかげで、大手電機メーカーがワープロ生産から相次いで撤退していることに合わせ、ワープロの衰退を象徴する動きだ
◇高速インターネット接続サービスのDSL(デジタル加入者線)の加入契約が急増し、23日現在で2万7,000件を突破。利用者料金の値下げも加わって、一気に普及が進んだという(朝日)。やはり高い通信料金がネックになっていたことがここでも明らかになった。
【トピック】
●ケータイのためにアルバイト
携帯電話を使っている若者の6割以上が月5,000円以上の使用料を支払い、3割の人がそのためにアルバイトしていることが、東京都の消費者調査でわかった(読売)。先週もこのコーナーで、「ネットのために食費が減っている」という調査結果を取り上げた。これが「少子高齢化時代」の若者たちの実像とは・・・。
◇はっきりとした目標を持たない若者が増えているのに対して、「チョコレートは努力目標」と語気を強める森首相(毎日)。バレンタインデーも終わったのにチョコレートの話題で盛り上がっているのが国会のセンセイたち。えひめ丸事故当日の「かけゴルフ」疑惑についての衆院予算委員会での答弁だ。コメントするのもバカバカしい。嗚呼、情けない、情けない。
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー 2月
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/02.htm
2001/02/27
13:34
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