FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~「2・26」事件、きょうの国会は?

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●「KSD」もバーゲンセール・・・
  「2・26」きょう国会は、衆院政治倫理審査会で額賀福志郎前経済財政担当相の弁明を行うとともに、村上正邦前参院議員会長の議員辞職を参院本会議で許可する。年明けから燻っていた「KSD」事件も一応の区切りがつくとみられる。いよいよヤマ場を迎えるが・・・。

  そのタイミングに合わせて、各紙が「KSD」事件のバーゲンセール。読売は「政界に17億6,000万円、延べ142人に陣中見舞い」と、政界工作の全容を報じている。

  朝日も「自民党費15億円負担、9年間延べ63万人分」と自民党費肩代わりの全容を詳細に取り上げている。党員名簿もねつ造、実在しない名前を勝手に書き込んだ例もかなりあるという。社会面に関連記事を載せているが、「家康も五右衛門も入党」という見出しがあるのはそのためである。

  さらに、東京は「村上氏に5,000万円直接渡す、古関容疑者が議員会館に持参」。古関容疑者が核心部分をすべて供述していることが東京地検特捜部の調べでわかった。

  ◇「退陣コールもどこ吹く風」。学者、財界人らの「森ブレーン」による政策勉強会が再始動(会合に本人は欠席)するなど、予想以上の粘り腰をみせている森首相だが、毎日の全国電話世論調査でも、内閣支持率はこれまで最低の9%に低下。

  すでに、フジテレビの世論調査では「5.8%」という末期症状を呈している結果もあるほどで、9%はそれほど驚かないが、注目されるのは、自民党の支持率が19%と史上2番目の低さに落ち込み、「夏の参院選挙でどの党に投票するのか」の質問では、自民党17%、民主党15%と肉薄していることだ。

  毎日の調査では小泉純一郎・森派会長が断トツ人気だが、後継者選びも思惑が交錯、「自民党そのものが危機」で、森首相が代わっただけでは、もはや、済まされない。

  ◇危機感は自民党ばかりではない。これまで積極的な出店攻勢で急成長してきたコンビニに赤信号が点滅し始めた。業界3位のファミリーマート(8028)が国内5,200店のうち、不採算店の500店前後を閉鎖する方針を固めた、と日経が取り上げている。

  セゾングループから伊藤忠商事(8001)の傘下に入ったころから、ドラステックな改善が実施されることは予想がついていたが、マージンをめぐっての加盟店オーナー(店舗経営者)とのトラブルが後を絶たないのもコンビニ業界の悩みのタネ。本部だけが儲かる仕組みを改めない限り、「コンビニ残酷物語」は終わらない。

  ◇産経は、大分県の小中学校で冬休みの教材に旧日本軍が中国の村民を皆殺しにした話や「自虐的」内容とみられる写真が使われていた、という記事。文部科学省で事実関係を調査中。

  【経済・IT】
  ●銀行も9割引不良債権処理を
  景気回復に急ブレーキがかかった。「経営者らの景気感が昨秋の時点より大きく後退している。2001度の実質経済成長率も政府見通しの1.7%の達成が難しい」と、朝日の全国200社を対象にした緊急景気アンケートでわかったという。

  ◇景気後退要因にもなっている銀行の不良債権処理。「銀行もいつまでも未練たらしく不良債権を陳列するのではなく、ダイエー(8263)のように9割引の不良債権処理を早くしろ・・・」と、毎日のコラム(余録)が、皮肉たっぷりに載せているのが興味深い。

  ◇新聞社の独自調査をもう1発。日経が2000年度の「優れた会社」ランキングを発表。ホンダ(7267)が前回6位からトップ。2位はTDK(6762)で、両社についてはいまさら説明もいらないが、3位に入ったのが、筆者も注目していたアドバンテスト(6857)という半導体試験装置メーカー。意外だと思われるが技術系には人気のある会社だ。全従業員のなかで、研究開発要員が占める比率が高く、2,000億円程度の企業規模の割には工学博士号などの取得者数も多い。

  ◇携帯電話世界最大手の英ボーダフォンが、JR系新電電の日本テレコム(9434)に、さらに追加出資する方向で調整に入ったと、読売が取り上げている。米AT&Tから10%を追加取得、ボーダフォンの日本テレコムの出資比率は25%となり、筆頭株主になる。もっとも、日経も同じ内容の記事を載せているが、「25日付の英紙サンデー・ビジネスが報じた」とネタの発信源を明らかにしている。

  【トピック】
  ●何回かけてもつながらない
  サーバーの故障などで申込を延期していたサッカーの2002年ワールドカップ入場券のインターネットでの予約申込が、日本側に予告なしに突然開始された。「事前予告によるアクセス殺到で再び問題が発生するのを恐れた可能性もある」(東京)と分析しているが、産経によると「待ちかねていたファンが殺到、一時的にアクセスできないケースや、つながっても、住所、氏名などを記入しているが途中で突然、画面がストップするケースなどトラブルが相次いだ」と報じている。締め切りは3月14日、やっぱり郵送にしましょうか・・・。

  ◇「何回かけてもつながらないので、森(総理)も怒っております」と千恵子夫人。ワールドカップの申込ではない。日曜日朝の報道生番組「サンデープロジェクト」で司会の田原総一朗氏がスタッフを通じて森総理に電話したところ、なぜかつながらない。「いつも連絡とれないな」と田原氏のコメントに腹を立て、私邸でテレビを見ていた森総理もすぐに、放送局にかけたらしいが、番組終了まで不通だった(読売)。電話にも嫌われた森サン、まさか、最近の電話は多機能過ぎてかけかたがわからないわけでもないだろう。番組が番組だけに「やらせ」説も飛び交っているが?

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/02.htm

2001/02/26 09:11