情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●「哀れ」な釈明
「人がみんなで考えてくれた。健康管理上の友人の好意です」
朝日がきのうの朝刊でスクープした森喜朗首相のゴルフ会員権問題は、当然のことながら国会でも取り上げられ、与党内でも浮上している首相退陣論に弾みをつける結果となった。読売がトップで報じている。
首相自身も釈明に追われ、番記者とのやり取りでは冒頭のコメントが飛び出したが、「物言えば唇寒し」である。熱烈な支持者への説明ならいざ知らず、森氏の「首相の資質」に疑問を抱いている人や退陣論を支持する人には到底通用しない理屈を並べ立て、正当な貸借関係を主張する様は、滑稽を通り越し、「哀れ」の一語に尽きる。
事態を冷静に直視すれば、森氏の首相としての寿命は尽きかけている。身内の森派からも退陣論が浮上、森政権を真剣に支えようとしているのが亀井静香政調会長ただ1人という状況は、もはや「死に体」。残された道は「退陣」しかないのである。
毎日は、「どのタイミングで、誰が『引導を』というシナリオはまだ見えてこない」と言うが、進退の判断は森氏自身が下すしかない。が、森氏に判断能力すらないというのなら、引導を渡す役は小泉純一郎元厚相が担うべきだろう。自民党では「改革派」の代表格でありながら、守旧派の代表格である森氏を「森派の代貸し」として支えてきたのだから。
◇「ジーザス、一体いまのは何だ!」
実習船と衝突した際、原潜の司令室で緊急浮上訓練の操舵をした民間人2人が米NBCのTVインタビューに応じ、当時の艦内の生々しい状況を明らかにした。
事故の原因が、事前の安全確認を怠ったことにあるのか。それとも、乗員の指導のもとで操舵をした民間人のミスに起因するのか。いずれにせよ、事故当時にレバーを動かしていたのが、経験ゼロの民間人だったことがはっきりと確認された。
毎日、産経、東京の3紙がこのニュースをトップで報じている。
◇KSD(ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団)による党費や私設秘書の給与肩代わりなどの疑惑が取り沙汰されている自民党の村上正邦参院議員に、新たな疑惑が浮上。朝日によれば、村上氏の政治団体などが使用している事務所の賃貸料をKSDが負担していたことが分かったという。
東京地検によるKSD事件の捜査はいよいよ“本丸”に迫ってきた。Xデー間近ということか。
◇石油元売り各社が、低硫黄軽油の本格供給に乗り出す。政府や自治体の排ガス規制強化の動きに対応するもので、経済産業省も設備投資への利子補給などで後押しする方針という(日経)。
【経済・IT】
●日銀悩ますデフレ包囲網
G7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)が17日にイタリアで開かれ、米国の景気減速による世界経済の混乱をどう回避するかが最大のテーマとなる。
日経によれば、「米国では表面的には日本批判が影を潜めているが、水面下では『構造改革推進とそのデフレ圧力を緩和するためのマクロ政策』への期待が高まっている」。とすれば、来年度予算の早期成立への努力や公定歩合引き下げ+ロンバート型貸出制度の導入で矛先をかわすのは難しい。
ともあれ、今回の会議で、日本のデフレがクローズアップされることになれば、宮沢喜一財務相も加わった「G6+日本財務省」の日銀包囲網が出来上がり、金融緩和(ゼロ金利復活)によるデフレ緩和努力を迫られる事態も。
◇NTT東日本とNTT西日本が15日、固定電話からインターネットに接続するLモードの認可申請と料金を総務省に届け出た。
下駄を預けられた総務省は、きょう開かれる情報通信審議会に判断を委ねる方針だが、ライバル各社は「(許可されれば)行政訴訟を起こすことも検討している」(奥山雄材KDDI社長)と反発を強めている。
続きは、袴田まさお氏のコラム『ニュースの見方』で。
【トピック】
●またも三菱が・・・
三菱自動車工業(7211)が、日米両国で計135万台もの大規模なリコール(無償回収・修理)を開始する。このうち、米国でリコールするクルマは約95万台。朝日によれば三菱の米国での年間販売台数の3倍にも上り、費用負担は日米両国合わせて170億円に達する見込みだ。
昨年夏に続く再リコールは、筆頭株主のダイムラークライスラー主導で経営再建を進めている三菱の屋台骨を揺さぶることになりそうだ。
[メディア批評家 増山 広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/02.htm
2001/02/16
09:10
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