情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●株価対策中間報告「案」
日経平均の7日の終値は1万3366円。株価がこんな体たらくでは政権が保たない、と与党が検討していた「証券市場等活性化対策」の中間報告「案」を、読売と産経が1面トップで報じている。
焦点の「金庫株」についてはインサイダー取引や相場操縦の防止策を講じた上で、解禁のための法改正案を今国会に提出。株式投資の最低単位である「単位株」を引き下げや、企業同士が市場外で持ち合い株を等額交換できる制度などについても早期実現を目指すという。
公的資金を使ったPKO(株価維持策)は見送られ、「市場の中長期的な環境整備や、個人投資家の呼び込みに力点を置いた内容」(読売)となったが、関連法の改正作業はこれから。金庫株の解禁だけでも300近い条文の修正が必要で、気の遠くなるような作業を強いられる法務省などの担当者は早くも頭を抱えている。
ともあれ、「速効策」を狙った与党の株価対策のポイントは、「中長期的な環境整備」にすり替わり、個人投資家などが期待していた株式関連税制の改正も見送られた。あとは、この中間報告「案」を市場がどう評価するかだが・・・
◇デジタル放送への完全移行に伴い、現在のアナログ地上波TV放送が2011年で完全に姿を消すことになった。日経によれば、総務省は今国会に提出する電波法改正案にこの方針を明記、デジタル完全移行へのスケジュールを示すことで、デジタル放送をインターネットと並ぶIT基盤に育成するという。
地上波放送を受信している4,000万世帯がデジタル対応のTVやVTRなどを買い替えることで見込まれる新規需要は40兆円。メーカーはウハウハだが、そうは問屋がおろさない。筆者は、価格破壊が起きるまでアナログTVで堪え忍ぶことにする。
◇外務省幹部の機密費横領事件で、外交機密費の官邸への「上納」の事実を裏付ける証言を「外務、財務両省の複数の元担当者」から得た、と東京が報じている。それによれば、大蔵省(現財務省)が予算編成段階で外務省に渡す予算査定文書に「官邸分」や「官邸の補助費」など上納の事実を示す記載があったという。
この問題では、森喜朗首相と河野洋平外相が国会で「上納の事実はない」と答弁しており、野党の格好の追及材料になりそうだが、守りに回る政府・与党も必死。このままでは、ブツ(証拠資料)がないことを幸いに逃げ切りを図る公算大である。
どの新聞でもいいから、動かぬ“証拠”を突きつけてくれ。
◇朝日は司法改革、毎日は「特別永住者」の国籍取得問題をトップで報じている。
【経済・IT】
●不正使用にスピード裁定
「goo.ne.jp」は、よく知られている情報検索サービスのドメイン名。では、「goo.co.jp」は? アクセスすると、ポルノサイトにつながるらしい。
民間の仲裁機関である工業所有権仲裁センターが7日、NTT-Xの「goo.ne.jp」と類似のドメイン名を使用していた岡山の業者に、「利用者が『goo』と誤認することを前提に、ポルノサイトへの入り口としてのみ使用しており、正当な権利がない」と、ドメイン名移転を命じる裁定を下した。
同様の紛争としては、信販会社ジャックス(8584)の商標を巡って富山地裁で争われたケースが有名だが、一審の判決まで要した時間は約2年。これに対し、今回の「goo.ne.jp」の場合、申し立てから裁定まで2カ月余のスピード裁定となった。朝日が第3社会面に解説を掲載している。
◇今月2日に開かれた経済財政諮問会議(第3回会合)の議事要旨が7日公表され、金融の量的緩和を求める声が続出、森首相までが金融緩和の必要性に言及したことが明らかになった。
委員として出席した速水優日銀総裁は、金融政策については沈黙を決め込み、持論の構造改革を強調するのみ。毎日は、「政府の反対を押し切って『ゼロ金利』を解除した速水総裁にとって居心地の悪い会合だったことが、沈黙につながったのかもしれない」と報じている。
金融の量的緩和を巡ってジワジワと日銀包囲網が敷かれる中、日銀は9日、政策委員会・政策決定会合を開き、宿題となっていた資金供給手段の拡充策を決定する。会合の2日前から担当者がマスコミの取材を受け付けない「ブラック・アウト」状態に入っているが、日経は<量的緩和せず>と断定的に報じている。
【トピック】
●「横田空域」を取り戻せ!
日航機のニアミス事故は、2機を誘導する管制官が便名を取り違える「単純なエラーが発端だった」(東京)が、遠因をたどれば空域の過密状態に行き着く。
東京の『こちら特報部』によれば、事故を起こした空域は、羽田へ着陸する航空機が集中、最も混雑するエリアで、多い時には20機以上がひしめくこともある。そして、この過密状態に拍車をかけているのが米軍横田基地の存在で、石原慎太郎都知事が「横田空域」返還を主張しているのはご存知の通り。
横田基地自体の返還は困難とみる外務省も、空域については米政府に対し返還を求めている。この点に関しては「犬猿の仲」の石原氏と外務省の立場は一緒なのだから、直ちに行動に移すべきである。
◇今年は花粉症の当たり年。大量のステロイドを筋肉注射すると、数週間にわたって症状が消えるらしい。
しかし、読売によれば、顔のむくみや皮膚障害、月経異常などの副作用があり、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会がこの治療の危険性を警告することを決めたという。花粉症対策には即効薬ないのか。
[メディア批評家 増山 広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー 2月
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/02.htm
2001/02/08
09:04
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