FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~ニアミス+日経のトップに注目!

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●怪我だけで良かった
  都内最終版を基にこのコラムを書いているが、きょうの朝刊は配達が遅れた。日航機のニアミス(異常接近)を巡る日本航空(9201)の報道陣への説明が2転3転するなど、事故の情報収集に手間取り、記事の出稿が締め切りに間に合わなかったためか。

  日経を除く5紙がトップで報道。各紙は、「907便と958便の高度差はわずか60メートル」と報じているが、今朝のテレビによれば「たった10メートル」。背筋が寒くなる。

  怪我をした907便の42人には気の毒だが、航空史上最大の惨事を回避できたことは幸いだった。

  両機に指示を出していた管制官は、この空域を担当した経験のない「実務経験3年」の“見習い管制官”。便名を「908便」「957便」と言い間違えるなど、「管制指示ミスが原因か」と各紙は報じている。

  ニアミスは、「日本とアジアを結ぶ『空の東海道』(日航)と呼ばれるほど交通量の多い飛行ルートで起きた」(毎日)。最も危険度の高い空域を、見習い管制官が仕切っていた事実に驚愕する。

  一方、指示を受けた958便の機長からの返答がなかった場面も。おまけに、地上に降り立った両機の機長、「弁護士と相談してから」と日航の事情聴取を拒否、さっさと帰宅してしまった。

  紙面を読み比べての感想をひとくさり。このニアミスで怪我を負った乗員・乗客は907便の42人と前述したが、朝日だけが41人と報じている。カウントミスか。

  もうひとつ。これも朝日で、両機長が「弁護士と相談してから」と事情聴取を拒否したことに全く触れてない。今日の朝日は、見劣りがする。

  ◇米商務省が31日発表した昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP)成長率=速報値=は1.4%。前期(2.2%)を大幅に下回り、米国の景気が急速に下降していることを示した。

  日経は、「年初に緊急利下げを実施した米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げに踏み切るのは確実」とトップで報道。そのFRBは、GDPの発表直後、間髪を入れず利下げに踏み切った。年初の2回の利下げと合わせると、米国の政策金利はこれで1%引き下げられたことになる。

  ところで、日経の末尾の文章には笑ってしまった。利下げ直前のニューヨーク株式相場の動きについて、「米連邦後悔市場委員会(FOMC)の結果を見極めたいとのムードが強く小動き」とあるが、「米連邦公開市場委員会」では?それとも、皮肉を込めて当て字を使ったのだろうか。

  【経済・IT】
  ●セガ社長の“太っ腹”
  家庭用ゲーム機「ドリームキャスト(DC)」の製造中止を正式発表したセガ(7964)。製造中止報道で株価は好転したが、約200万台の在庫整理損などで約1,213億円の特別損失が発生する。

  “損切り”の決断は見事でも、事業を再構築するための資金がなければ、再生への展望は開けない。そこで、大川功会長兼社長が850億円相当の個人資産をポンと贈与。トップ自ら自腹を切ってピンチを切り抜けることになった。大川氏は昨年4月にも、第3者割当増資約500億円を引き受けており、1年間で1,350億円もの私財を提供することになる。それにしても大川さん、随分と“太っ腹”なことで。

  ◇固定電話からインターネットに接続する、いわばiモードの固定電話版「Lモード」サービスをNTT東西2社が計画しているが、「地域通信に限る」と規定したNTT法違反の可能性がある。両社から「4月スタート」の申請を受けた総務省は判断に迷い、内閣法制局に政府見解を出すよう依頼。読売によれば、法制局が近く正式見解を示す見通しという。

  その内容は? 東京によれば、NTT東西の期待に反する内容らしく、総務省は早々と「NTT法に触れると判断、認可を秋以降に先送りすることを明らかにした」という。

  ◇マルチメディア総合研究所が発表した昨年のパソコン出荷概況によると、NEC(6701)がシェア24.1%とトップの座を堅持。以下、富士通(6702)、日本IBMと続き、ソニー(6758)が前年の6位から4位に躍進した。

  当サイトのスタッフ7人中4人が使用している某社のPCは、ベスト10から外れ、「その他」になってました。

  ◇「VAIO」で4位に躍進したソニーが、ネット銀行の予備免許を金融庁に申請した。きょうの『ニュースの見方』で袴田まさお氏が、株価との関係について詳しく解説している。

  【トピック】
  ●不親切な窓口に「×」
  コンサルティング会社のデロイト・トーマツ・コンサルティングが発表した金融機関に対する顧客満足度調査(日米欧など10カ国)によると、日本の消費者の満足度は最低の16%。不満度は最高の38%だった。

  当然である。日本人は、窓口での迅速かつ親切な対応を重視しているのに、窓口の行員の態度がまるでなってないのだから。

  金融機関各位。猛省せよ!

  [メディア批評家 増山 広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/02.htm

2001/02/01 10:59