情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●3点セットでゲームセット
いよいよ通常国会がきょう31日、招集される。野党は株価低迷に加え、KSD事件、外務省機密費流用疑惑など、森総理退陣のための「3点セット」で、野党は「自民党を倒せなければ政治家ではない。つぶすまで結束する」(自由党・藤井幹事長)と気勢を上げて、徹底追及する構えだ。
その野党は、もっぱら新聞・雑誌の記事を材料に糾弾するケースがよくみられるが、きょうもネタ不足の野党のセンセイにはうれしいKSD事件、外務省機密費流用疑惑の続報記事満載。東京は「KSD資金の提供を元閣僚ら16人が認める」「KSD会員獲得に金融界も協力、6億円の謝礼」。読売は松尾元室長が「外務省高官から預かった公金もある」と供述、会計課幹部が仲介した疑いがあると報じている。
◇「国民の司法参加のあり方について、刑事裁判で一般市民が判決に関与する “裁判員制”の導入を検討している」
きのう(30日付)の日経朝刊がスクープ報道したことはこの欄でも紹介したが、きょうは朝日と毎日が1面トップ、読売も準トップで掲載している。「裁判員」制導入をめぐる論議は司法改革の焦点になっており、司法記者も司法制度改革審議会の方向性を探る取材は日々のテーマとなっていたはずである。きのうの日経の記事を読んで抜かれた他紙の記者の青ざめた顔が浮かぶ。
◇その日経は、きょうも独自ネタ。自民党が検討している株価対策について「自社株の取得・保有を自由化する金庫株の解禁や自社の株式を主な運用対象にする企業年金を創設するための新法の制定を進める」と、その骨格のポイントを明らかにしている。
◇産経は痛ましい山手線事故で救助しようとして死亡した2人の遺族に対して、警視庁が災害給付金を交付するという記事。カネで命が取り戻せるわけでもないが、尊い犠牲にせめてもの公的補償が・・・。
【経済・IT】
● きょうでお別れ・・・
「もう年だから・・・」再建中のダイエー(8263)が、臨時株主総会を開催、中内功オーナーらの取締役退任を決めた。きょうの各紙の経済面は 「“流通の革命児”終焉寂しく」(朝日)など、すべてダイエーがジャック。名物カリスマオーナーには「もう遅い・・・」と一言だけコメントしたい。今後、ダイエーが紙面をジャックするのは“X-Day”の時以外はあり得ないだろう。
◇またも頭の回線が混線してきた。日本テレコム(9434)が県外(長距離)通話料金を3月1日から最大20%値下げすると発表、朝日によると、KDDI(9431)も同様の値下げをきょう発表するという。「マイラインにらみ戦線激化」(東京)というが、各社が小出しにするのはいい加減にしてほしい。
◇「留守宅の様子ロボットが教えます」(朝日)。携帯電話の話題でも、こちらは、玩具メーカーのタカラ(7969)が携帯電話で遠隔操作ができるヒト形ロボットを開発したニュース。ロボットが見た映像を、離れた場所から「iモード」を使って確認できるという優れもの。今秋にも発売、価格はiモード対応タイプで7万8,000円という。彼女にプレゼントすれば、居ながらにして部屋を覗けることになる。“デバガメ”男はプライバシー侵害で訴えられないようくれぐれもご用心。
◇もう一発携帯電話。電磁波が人体に及ぼす影響を検討している総務省の研究会が「携帯電話による健康への影響はない」と中間報告をまとめた(毎日)。ホント?
この報告書、誤解を招きやすい。「健康な人」を対象にしており、ペースメーカーなどを付けている患者さんのことには言及をさけている。
【トピック】
●謎の発明品の正体は?
「今世紀最大の発明品」「インターネットを上回る革新的製品」など前評判だけが先行し、具体的にどんなものかわからないという謎の発明品「ジンジャー」。全米ハイテク業界で最大の注目を集めているそうだが、筆者は初耳。その正体が「どんな路面でも走行可能なスクーター」だとする説が英国のIT専門誌レジスターに掲載されている、と毎日が取り上げている。正体不明の噂話はよくあることだが、そういえば、山手線などに出現していた「ナンチャッテ・オジサン」はどうなっちゃった?
◇「ゲームメーカーのコナミ(9766)が、約5億円の所得隠し」(東京)。「西武ライオンズの本拠地・西武ドームに2億円の超課税」(読売)。テレビの料理番組で活躍している周富輝さんも約5,000万円の脱税容疑。確定申告シーズンを控えて、この時期、毎年のように国税局の告発記事が目立つ。一罰百戒というわけだが、懲りない面々も後を絶たない。
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/01.htm
2001/01/31
09:01
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