情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●恐ろしい医療事故の実態
「1病院当たりの年間事故報告件数は平均130件にのぼる」。恐ろしい実態が、社団法人「日本病院会」のアンケート調査でわかった、と毎日が取り上げている。
この数字、交通事故などでケガをして病院に運ばれた患者の件数ではない。医者や看護婦などのミスによる医療事故のことである。「命に危険」を伴う医療事故も含まれており、これでは患ってもうっかり病院にも行けない。
◇医療関係の記事でも読売は、非加熱血液製剤を投与した患者を対象にC型肝炎の調査を厚生労働省が、他の肝炎対策に先駆けて実施する、と報じている。「国民の不安感が大きい」として、潜在的な感染者の実態把握を急ぐことにしたものだが、これまで野放しになっていたとは、なんと恐ろしいことなのか・・・。
◇調査と言えば、深刻な有明海での養殖ノリの不作問題で、谷津農相が地元を視察し、「調査途中でも水門がノリ被害に影響しているという疑いがあれば、水門を開放する」と、地元漁業関係者に約束している(東京)。
◇朝日は、今年7月の参議院選挙で総務省が「翌日開票を容認」する記事。比例区に個人名投票が認められる非拘束名簿式が初めて導入され、都市部などの200近い自治体から、「即日開票は困難」との意見が出されているためという。
集計作業の混乱騒ぎでは、先の米国の大統領選挙を思い出す。読売の世論調査では「森内閣の支持率が19.2%まで低下」いよいよ危険水域に突入。1枚1枚慎重にチェックしたところで、自民党の大敗は態勢に影響はなさそうだが?
◇司法改革の焦点になっている国民の司法参加のあり方について、刑事裁判で一般市民が判決に関与する「裁判員制」の導入を検討している、と日経らしからぬスクープ報道している。
◇連日の報道でやや食傷ぎみのKSD、外務省機密費流用疑惑だが、きょうも産経が「在外公館幹部ら聴取、元室長の横領容疑立件へ詰め」と1面トップで伝えている。
【経済・IT】
●見出しのマジック?
「景気停滞感じわり」と毎日、朝日も「景気回復テンポ鈍化」。一方、産経は「消費マインド6期連続で改善」。きのう開かれた日銀の支店長会議での景気動向と内閣府の消費動向調査結果についての各紙の見出しだが、つまり、どっちもどっち、はっきりしないということらしい。
◇読売によると、電通が発表した景気の現状は「悪い」と感じている人が前回(11月)よりも増えたという。昨年冬のボーナスの使い道も調査したが、「貯蓄、借金の返済、手元に残す」が62%と最も多かった。これでは消費低迷から脱出できない。
◇景気の低迷は米国も深刻のようだ。自動車大手のダイムラークライスラーは収益が悪化している米クライスラー部門を立て直すため、全従業員の20%にあたる2万6,000人を削減、6工場を閉鎖する、と大胆なリストラを断行すると発表(朝日ほか各紙)。先日、米国市場で好調な日本の自動車メーカーの社長から話を聞いたが「急に日本車販売もブレーキがかかってきた」と不安気味で語っていたのが気になってはいたところだった。
◇再建中のダイエー(8263)に、「ユニクロ」まで出店するという(毎日)。マクドナルドに次ぐ “客寄せパンダ”だが、人気選手ばかりを集めるどこかのプロ野球チームの手法によく似ている。そのダイエーはきょう臨時株主総会で中内功オーナーらの取締役退任を決める。最近の中内サン、送迎車を「ベンツ」から国産の「セルシオ」に乗りかえるなど、謙虚さもみられるが・・・。
◇固定電話や携帯電話で話すだけで様々な情報を検索できるサービスを日本テレコム(9434)が7月から開始する。読売によれば「銀座でイタ飯、予算4,000円以内」と話しかけると、ネットに接続し、キーボードなどでいちいちデータを打ち込まなくても検索してくれて、しかも音声で電話で情報を伝えてくれる便利なサービスだ。書店にはグルメガイドブックが氾濫しているが、ここまでサービスが行き届くと紙媒体は死活問題だ。
【トピック】
●W杯、ネットに敗れたコンビニ
節分が近づいても来年のことを言うと鬼が笑うというが、サッカーファンには待望の2002年日韓共催のサッカー「ワールドカップ(W杯)」の国内分チケットの第1次販売概要が発表された。来月15日から3月14日まで郵送とインターネットで購入申し込みの受け付けが始まる。抽選を行い、54万枚余りの当選者は6月ごろに通知されるという。ただし、組織委員会のメンバー間の思惑が絡みあって申込用紙の配布先に当初予定されていた「コンビニ」などが外れるなど、「見切り発車となった点もあり、解決すべき課題は残る」と、産経は厳しく糾弾している。
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/2001/01.htm
2001/01/30
08:56
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