情報は時とともに劣化する・・・

　 【1面トップ】
　 ●トップは “パラパラ”
　 自民党の額賀福志郎経済財政担当相の辞任で、連日のマスコミ報道もひと休みと思っていたが、きょうも、KSD（中小企業経営者福祉事業団）から「自民6人以上に2,500万円」と毎日がトップ記事で扱っている。

　 96年総選挙の直前に裏金として1人数百万規模で提供していたというが、パーティ券購入などで怪しいセンセイの名前は載っているものの、具体的に提供を受けた特定の人物は伏せられている。通常国会招集まであと6日、まさか、毎日一人ずつ小出しに掲載するというわけでもないだろうが・・・。

　 ◇読売と東京は、森政権を絶体絶命に追い込んでいるもう1つの事件「外務省の外交機密費流用疑惑」の内部調査報告の結果と再発防止策の骨格を取り上げている。ほかの各紙も社会面などで掲載。

　 「外務省元室長強制捜査へ」（産経）、「河野外相は減給処分」（東京）、「要人訪問支援室廃止へ」（読売）。「機密費に触れず報告書、公金と責任回避狙う」（朝日）など。詳細は明日（25日）発表、お手盛りの内部調査だから特段期待はしていなかった。

　 ◇KSD、外務省機密費流用疑惑など暗いニュースが続いている中で、きょうの朝日は「ブランド愛止まらない」という風変わりな見出しで、パリ・コレクションのルイ・ヴィトンのカラースナップを掲載。

　 まるでファッション雑誌の広告記事さながらの紙面構成。「昨年、有名ブランドのヴィトンの国内売上げが1,000億円を突破、消費不況の中、ファッションの世界では海外ブランドが不況知らずの売れ行き」と報じている。筆者の知り合いの女性もクレジットカードを片手に銀座の高級ブティックにせっせと通っている。

　 ◇産経は中国・北京の天安門広場で、気功集団「法輪功」が政府の弾圧に抗議して集団焼身自殺を図ったというショッキングな記事。

　 ◇映像などのソフトをインターネットで国境を超えて消費者に配信する電子商取引について、「日米欧などの租税当局が海外業者に消費税などの間接税を徴収する納税を義務づけることで合意」。日経らしい記事である。きょうのトップは “百花騒乱”見事に分かれた。

　 【経済・IT】
　 ● 外資と「できちゃった結婚」
　 新日鉄（5401）は、欧州最大で世界3位の鉄鋼メーカー、仏ユジノールと提携したと発表。日経と朝日には「正式に発表」という文字があるのは、すでにスクープ報道していたため。両社は自動車用鋼板で技術・生産協力や共同開発を行うほか、電子商取引などの幅広い分野でも世界規模の協力関係を築くという。今月末にはトヨタ自動車（7203）のフランス工場が稼働するなど、欧州での現地生産が加速する。自動車と鉄は切っても切れない関係だが、強者連合の殴り込みで、落ちこぼれるメーカーはどこか？

　 ◇外資との提携でも、オリエントコーポレーション（8585）は子会社のオリコ生命保険の全株式を英国大手の保険会社プルデンシャルに売却することで合意。オリコの経営実態については、昨年老舗の某経済誌がくわしく報道していたが「バブル崩壊後の不良債権処理の遅れ」（読売）が命取りとなっていた。

　 ◇すでに経営破綻した東京相和銀行は受け皿探しに苦慮しているが、米国カリフォルニア州に本拠を置く「ローン・スター」にする方針で、金融庁らが最終調整に入った、読売が報じている。

　 ◇日銀の速水優総裁は「ゼロ金利政策を再び取る考えがない」と強調、景気対策に「日銀が手詰まり状態」（毎日）であることがバレバレに。

　 ◇「ダブル苦リックから解放、パソコン操作やさしく変更」（朝日）。日本IBMが、お年寄りや障害者などパソコンのあつかいが苦手な人向けに、画面表示を大きくしたり「ダブルクリック」をなくしたりするなど、操作が簡単になるよう設定を変更できるサービスを開始した。筆者もダブルクリックには泣かされているので、これは朗報だが、さらに注文をつけるなら、専門用語だらけの解説書もオジサンたちにもわかりやすいやさしい表現に変えてもらえれば・・・。

　 【トピック】
　 ●セガ、悪夢続きでゲームオーバー
　 経営不振が続くゲーム業界の老舗・セガ（7964）は、3月末までに人気家庭用ゲーム機「ドリームキャスト」の生産を中止する、と日経がスクープ。ドリームキャストはネットに対応した初の家庭ゲーム機として話題を呼んだが、任天堂（7974）などとの熾烈な家庭用ゲーム機戦争に破れ去ることになる。

　 ◇「職探しも電脳時代を迎えた」（東京）。学生職業総合支援センターを訪れた大学生のうち、回答者の58％がインターネットの求人情報サイトを利用していることが厚生労働省のアンケートでわかったという。就職氷河期を乗り切るには、ネットは頼りになるお友達らしい。

　 ［メディア批評家　増山広朗］