情報は時とともに劣化する・・・

　 【1面トップ】
　 ●捜査は大きなヤマ場
　 きょうも自民党の小山孝雄参院議員のKSD（中小企業経営者福祉事業団）政界工作疑惑の続報。

　 「小山議員に逮捕状」日経を除く、5紙がトップ扱い。昨日、東京地検特捜部が受託収賄容疑で小山議員の逮捕状を取っており、きょうにも法務・検察当局は検察首脳会議を開催、捜査方針の最終確認を行ったうえで、強制捜査に乗り出す。朝日はわいろの「受領額は2000万円」と具体的に受け取った金額をサブ見出しにしているほかは、各紙とも見出し、記事内容に大差はない。東京は編集企画の「こちら特捜部」でもKSD事件のポイントを詳しくまとめており、わかりやすくて読みやすい。国会議員が受託収賄容疑で立件されるのは、1989年のリクルート事件で在宅起訴された池田克也・元公明党衆院議員以来というのは意外だった。

　 ◇日経は「経済産業省が都市ガスの小売事業を全面自由化に踏み切る方向で検討に入った」と報じている。これまでは工場などの一部大口利用者向けの販売に限っては認められているが、全面自由化によって、家庭や業務用も対象になる。料金低下を狙ったものだが実施は2003年が有力という。

　 ◇「小山議員逮捕状」のニュースが飛び込んでこなければ、毎日は「PKO（国連の平和維持活動）無駄遣い100億円」の特ダネをトップで取り上げるところだ。毎日の調べによると、出張費水増しや不要なポストの増設などずさんな管理が浮き彫りになり、PKO担当部局に改善を勧告したという。

　 【経済・IT】
　 ●転んでからの株価対策では？
　 森首相が株価対策に乗り出す考えを示したことを受けて、低迷する株式市場をにらみ、株価対策をめぐる議論が活発になっている。

　 「自民党は党証券市場等活性化対策特命委員会を設置、自社株の取得・保有化（金庫株の解禁）や企業の持ち合い株解消売りの受け皿作り、金融税制の見直しなど、具体的な検討に着手」（毎日）。

　 経団連も「金庫株の解禁に合わせて企業年金にも自社株保有を認めることや、株式配当に対する二重課税と、独禁法による株式保有総額規制を廃止するように政府・与党に要請する方針を固めた」（読売）。

　 企業の決算が集中する3月末を控え、危機感が強まっているためだが、金庫株の解禁などは、毎度おなじみの掛け声だけの隠れワザ。市場関係者は「小手先だけの対策にすぎない」（東京）という見方もある。15日の東京株式市場・日経平均の終値は158円49銭高の1万3506円。転ばぬ先ではなく、転んでからの株価対策、即効性には疑問が残る。

　 ◇NTT（9432）はISDN（統合サービスデジタル網）回線を使う定額制のインターネット接続サービスの料金を、2月をめどに現行の4500円:から3000円台に大幅値下げする方針を固めた（毎日）。すでに、高速ネット接続のADSL（非対称デジタル加入者線）を昨年末に値下げしており、それとのバランスを重視しての引き下げというが、相変わらずIT関連は適正料金がよくわからない。

　 ◇「銀行がユニークな支店戦略を展開し始めた」と読売が報じている。店内を高級ホテルのロビー風に改装したり、休日営業を行う支店も増えたという。この記事にはないが、横浜銀行（8332）などは、店内にマクドナルドを出店させた例もある。銀行の店舗は駅前一等地という立地条件に恵まれているだけに、アイデア次第では、文字通り“金を生むタマゴ”になる。

　 【トピック】
　 ●7月29日は何の日？
　 今年夏に実施される参院選は「7月29日投票」という日程が確定した。夏休みの行楽シーズンで、「都市部に人がいないほうが有利」「都議選気もむ公明にも配慮」。自民党の思惑がにじむ日程づくりと、朝日が皮肉たっぷりに報じている。日程よりも森サンで勝てるのかどうかを真剣に煮詰めたほうが予測しやすいのでは？

　 ◇有権者のサラリーマンにとっては、選挙よりももっと気になるのが間もなく本格化する春闘交渉。日経連の奥田碩会長と連合の鷲尾悦也会長が、きのう、都内で舌戦を繰りひろげた（産経）。「景気回復には賃上げが不可欠」と鷲尾会長がお決まりの主張をすれば、奥田会長は「雇用の確保の方が消費回復につながる」と反論。極めつきは「株価の下落など外部要因が原因でも、従業員を解雇するなら経営者は退陣するべきだ」と“奥田節”が飛び出した。

　 ◇日本と韓国が共催するサッカー2002年ワールドカップ（W杯）のキックオフまであと500日。朝日が3ぺージ、読売、毎日、産経なども1ページを使ってW杯関連の大型企画特集を掲載している。チケットの申し込みも2月15日から世界同時受け付けを始めるそうだが、500日前に各社そろって特集する狙いとは？

　 ［メディア批評家　増山広朗］