迷惑なロングラン――。2000年9月に海外で発見されたコンピューターウイルス「TROY_HYBRIS(トロジャン・ハイブリス)」が2001年になっても衰えることなく企業などで感染が続き、ついに日本国内でも感染が報告された。ウイルス対策のソフトウェア開発企業であるトレンドマイクロ(4704)、シマンテックともに日本で警告を発するなど次第に影響の深刻化が懸念され始めている。
トロジャン・ハイブリスは、トロイの木馬型不正プログラム、通称ワームと呼ばれる型に分類されるウイルス。差出人、タイトル、本文の無いメールに添付する形で不正プログラムが送りつけられ、受け取った人間が添付ファイルをダブルクリックして実行することで活動を始める。特に目立ったコンピューターへの破壊活動はないものの、常駐するとウィンドウズマシンのネットワーク関連システムファイルを書き換え、常にネットを監視するようになり、知らないユーザーがメールを送ろうとすると自動的に添付して相手にも送りつける。被害状況ではディスプレイ上に渦巻きなどのアニメーションなどを表示して、操作を受け付けなくするものがある、という。
世界的な被害の拡大を受けてトレンドマイクロとシマンテックの2社がさっそく駆除用ファイルなどを開発。国内でも配布を開始するとともに、危険性のレベルを従来より高くして警告を発している。
コンピューターウイルスといえば、発見されてすぐに爆発的な感染報告が続き、まもなく沈静化するのが一般的。一時的な被害件数は急増するものの、長くても1カ月以内に終息に向かうのがこれまでのパターンだった。しかし、トロジャン・ハイブリスの場合は、すでに発見から4カ月余り。大きな被害をもたらさないところから、「パソコンユーザー自身も軽く見ている傾向にある」(トレンドマイクロ)とみられ、このままだと蔓延化する可能性もある、という。
■URL
・トレンドマイクロ・感染警報「TROJ_HYBRIS」~国内感染報告増加中~
http://www.trendmicro.co.jp/virusinfo/troj_hybris.htm
・シマンテック・アンチバイラス・リサーチ・センター
http://www.symantec.com/region/jp/sarcj/sarcj.html
・情報処理振興事業協会セキュリティセンター
http://www.ipa.go.jp/security/
(市川徹)
2001/01/15
11:17
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