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コラム 瓦版一気読み~成人の式典なんて

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●「モリ」は「モリ」でも
  「えっ、また守さんなの?」。患者の担当が守容疑者になったとたん、容体が急変する。関係者によると、守容疑者がいない時に、「急変の守」というあだ名で呼んでいた(朝日)。仙台市泉区の「北陵龍クリニック」で起きた小学6年生の少女に対する筋弛緩剤の混入殺人未遂事件を朝日、産経、毎日が1面トップで続報。読売、東京などは社会面で取り上げている。

  「20人点滴、約10人死亡」(毎日)。
  「検出困難な劇毒種投与、明確な殺意持つ?」(産経)
  「点滴翌日、71歳急死、患者家族の前でこりゃダメだ」(読売)
  「死亡者ほぼ全員に点滴、立件対象慎重に捜査」(東京)

  こんな准看護士を雇っていた病院側のずさんな管理体制も問題だが、守容疑者の異常ぶりはコメントするまでもない。

  ◇読売は科学関連のネタ。「宇宙のすべての物質が、やがて消滅する運命にあるかどうかを探るための巨大観測装置(ハイパーカミオカンデ)で、陽子崩壊などを観測する壮大な構想を東大の宇宙線研究所グループがまとめた」と報じている。

  ◇1月20日に発足するブッシュ米次期大統領の経済政策の骨子を日経らしいスクープを掲載。景気刺激のための大型減税の実施をはじめ、国内供給拡大を目指すエネルギー政策、内外を含めた規制緩和の推進などが大きな柱。景気の減速がはっきりしたため、景気を最優先した政策運営だが、自由貿易体制維持のため日本などに一段の市場開放を求める可能性が強まってきたようだ。

  ◇東京は経営破綻に追い込まれた大手百貨店の「そこう」で、水島広雄前会長ら旧経営陣が「有価証券報告書」に記載した水処理プラント会社「超短波」への長期貸し付けに虚偽の疑いがある、と報じている。

  【経済・IT】
  ●ネット推進、お寒い実態
  昨年末時点でインターネットを導入している国内の企業・団体は全体でわずか1割に満たないばかりか、実際に職場のパソコンでインターネットを利用した人も国内就業人口の2割に過ぎない。森総理のキモ入りで「国家戦略」に格上げされたが、職場環境は相変わらず “お寒い実態”であることが、eビジネス専門の民間調査機関の調べでわかった(毎日)。そう言えば、筆者が連載している某経済誌の編集部にもパソコンがないため、未だファックスで原稿を送っているのも何となく納得する。

  ◇もうひとつ民間調査機関の調査結果。全世界の携帯電話端末の出荷台数が、昨年は4億2,000万台に達する見通しであることを産経、東京が取り上げている。携帯電話の新規加入が伸びているのはアジアとラテンアメリカということもわかった。

  ◇米国の景気後退で、インターネット事業を支えてきた広告が激減、ネット部門の人員削減が続く一方で、「無料インターネットサービス」を維持できずに、有料に踏み切る企業が出始めている、と産経が経済面のトップ記事で取り上げている。無料サービスはネット普及の起爆剤となっていたが、米国のネット事業も大きな曲がり角に差しかかっているようだ。

  【トピック】
  ●奇人、変人、成人式・・・
  きのうは、全国で約157万人が大人の仲間入りをした「成人式」。朝日、読売、産経、東京(毎日はオホーツク海の流氷を空撮)は式場に向かう振りそで姿のカラースナップを1面で大きく掲載しているものの、社会面などでは「静かにしろ、出ていけ」と橋本大二郎・高地県知事が式典でマナーの悪い若者を一喝する “荒れた成人式”の模様を取り上げている。会場で携帯電話が鳴り響き、飲酒しながら大騒ぎする若者が増えているというのだが、地方行政の中で重要“儀式”とはいえ、式典そのものの存在価値が薄れているだけに、主催者側にもイベントの企画力が問われるところだ。

  それこそ、国をあげて「IT革命」を唱えているならば、iモード付きの携帯電話か簡単なパソコンを記念品にプレゼントすればいい。田中康夫知事ではないが、eメールで熱いメッセージを送るのもひとつのアイデアでは・・・。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm

2001/01/09 09:14