情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●外交文書まで改ざん
敗戦で日本がGHQ(連合軍総司令部)の占領下にあった1949年、当時のソ連に抑留された日本人の未帰還数が、政府の推計よりも、大きく上回る「水増し」数字を公表するようにGHQから押し付けられていたことが、外交文書の公開で判明した。
毎日によれば「20万以下」とみられていたにもかかわらず、GHQ調べの「46万9000人」を日本の数字として公表させられたもの。GHQが冷戦下の「反ソ」宣伝に日本を引き込み、数字の責任転嫁を図ったものとみられるが、戦後半世紀も過ぎてから事実をやっと公開したという外務省の対応にも疑問が残る。
この外交文書、「34万ページ」にも及んでいるそうで、読売など各紙も中面見開きページや社会面などで詳細に解説記事を掲載しているが、「今回公開された外交文書には抑留に至る経過を解明する手掛かりはまったくない」(朝日)など、不透明な部分も多く残っており、それを熱心に読んだところで、とくに戦後派世代は「戦争の傷跡が大きかった」と感じたほかにはよく理解できません。
◇産経、東京はきょう内示される2001年度予算の大蔵原案の記事。きのうもこの欄で一般会計の数字などを紹介したので省略します。
◇環境庁が検討していた自動車窒素酸化物削減法の改正案の骨子を朝日がスクープしている。目玉だったディーゼル乗用車の規制値は、欧州連合の要求を受け入れた結果、当初案よりも3倍近くも甘く、大きく後退することがわかった。 この改正案に排ガス規制対策に自信のある日本の自動車メーカーは「中途半端」と批判しているが、政治的な外圧で腰砕けにならないように、環境対策の目的が誰のために行うのかを環境庁はもっと理解するべきである。
◇日経は鉄鋼、化学などの主要素材各社が減産強化に乗り出したと報じている。日銀の速水総裁もきのうの記者会見で「海外経済や内外資本市場の動向などにはこれまで以上に注意が必要だ」(日経)と発言している。「国内景気の回復にも影を落としそうだ」と結んでいるのが先行き不安材料を投げかけている記事だ。
◇読売は次のIT欄で紹介します。
【IT】
●HPのドメイン名に法規制
インターネット上のホームページの住所を示す「ドメイン名」を、企業名やブランド名など他人が不正に使用しないように、通産省がトラブルを未然に防ぐための法整備に着手した、と読売がトップで取り上げている。
日本には現在、ドメイン名の保護について明確に規定した法律がないが、インターネットの普及で今後、ドメイン名をめぐるトラブルが増加することが予想されることは避けられない。IT社会の基盤整備の一環として、不正競争防止法を改正するというのが狙いだが、これまで野放し状態だったことで、すでに、転売などの目的で有名企業などのドメイン名を複数登録しているケースも目立っている。これ以上、後手に回らないように、スピード法改正を願いたいものである。
◇「IT革命がアメ横にも押し寄せてきた」(東京)。年の瀬の風物詩、東京・上野のアメ横の歳末大売出しに、本格的なインターネット販売がスタートした。パソコン上で、商店街の雰囲気を楽しみながら、商品をネットで購入できるという仕組みだが、店員に直接交渉して値切ったり、現金仕入れ主義が売り物のアメ横商法にネットファンがどこまで理解を示すのか・・・。
【トピック】
●アサヒが発泡酒市場に参戦
“夕陽ビール”と呼ばれていたアサヒビール(2502)がスーパードライの大ヒットで奇蹟的に復活したのはご承知の通りだが、発泡酒には参入しないはずだった同社がついに来年2月から発泡酒を発売する(産経など各紙)。毎日はキーマンの瀬戸雄三会長を直撃、今回の税制改正で見送られた発泡酒の増税問題や発泡酒に参入する背景などに迫っているが、記者の質問に対して答えがアンバランス。パブ記事ならばともかくこの“甘口”インタビューではホンネが伝わってこない。単刀直入に言えばスーパードライに陰りが見え始めたからではないですか???
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm
2000/12/20
09:08
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