情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●大蔵原案内示前の腕くらべ
あす20日、大蔵省は2001度予算の大蔵原案を内示するが、官庁詰め記者にとっては、日頃親しい官僚からのリークで如何にスクープできるか、その辣腕ぶりが試される時期でもある。
毎日によれば、「一般会計の歳出・歳入総額は82兆6000億円台後半、今年度に比べて2.7%減、6年振りの減額となる見通し」と報じている。朝日、読売、日経なども1面や経済面などで同様の大蔵原案の骨格を取り上げているが、「6年振りの減額」という見出しは、きのうの東京朝刊1面で報じているため、後追い記事にしても新鮮味に欠いている。
◇予算関連では、産経が文部省の概算要求の目玉として、「公立小中学校で、20人程度の少人数授業を実施するため、教職員の人数を削減しない」という計画案を取り上げている。
学力低下を懸念して、「基礎学力の向上ときめ細かな指導を目指す」というのが、文部省のうたい文句だが、少子化で、学級の数が減るのに連れて、教職員がリストラされるのを防ぐためとしか思えない。団塊世代では1クラス50人以上は常識だったが、金属バットなどで他人を傷つけるような生徒も少なかった。
◇読売は法務大臣の諮問機関である法制審議会の刑法改正案の骨子。「偽造したクレジットカードなどを所有するだけでも懲役5年または50万円以下の罰金、カードの電磁情報を盗み取りした場合も一定の罰則を設ける」というもの。
日本は欧米に比べてカード犯罪への対応が遅れていただけに、法整備を急ぎ、具体的な実施は早ければ早いほどいい。
◇法整備でも日経は特殊法人の石油公団法の改正案。公団が出資する会社の財務内容が悪化していることから、石油ばかりではなく天然ガスの開発プロジェクトにも支援を強化すると報じている。
◇朝日は週間天気予報にも信頼度を示す「階級表示」を導入するという気象庁の記事。「来春にも性能が現在の20倍というスーパーコンピュータを稼働させる計画」というが、新たに導入するのかどうかはこの記事からは読み取れない。
◇「亀井氏要請で警備会社へ1、000万円資金提供」(東京)許永中事件の公判で、弁護側保証人として出廷した不動産会社社長が証言。
産経をはじめ各紙も社会面で大きく報じているが、亀井静香事務所は「金銭の授受は一切ありません」と、政治家お決まりの否定のコメント。関係がないと言うのであれば今後の成り行きを注目するほかにありません。
【IT】
●過熱する通話料金引き下げ競争
NTT(9433)グループの東西地域会社は一般家庭向けの広域サービスとしては世界で初めての光ファイバーによる超高速インターネット通信について、料金を月額1万3,000円と設定、年明けからサービスを開始すると発表(朝日、産経ほか各紙)
また、両社は新電電各社との市内電話通話料金引き下げ競争を有利に展開しようと、首都圏などでは安く、過疎地などの不採算地域では高い料金を設定する地域別料金の導入を検討中(毎日)。地域別料金の狙いは、全通話収入の8割を占めている首都圏の値下げで収益が悪化することを避けるためだが、インターネット普及につながる値下げは大歓迎。ただし、そのツケを特定の国民に回すことのないような低価格競争をお願いします。
【トピック】
●最後のひと足掻き
潰そうにも潰せないスーパー大手のダイエー(8263)が、オーナーの中内功最高顧問を「名誉職」に棚上げするなどの新経営体制を正式に発表した。「回復は容易ではない」(東京)、「回復が遅れれば一段のリストラ、再編も」(朝日)など、監督官庁、銀行監視下での再建への船出は前途多難。中内氏も「回復するまで、退職金は辞退する」と、数億円相当の退職慰労金をもらわないなど責任を痛感。ところが、これを耳にしたある中堅社員は「セゾンの堤さんは100億円もの私財を投げ出した。せめて、田園調布の豪邸ぐらい手放してもらわないと・・・」と手厳しい。噂された民事再生法の申請だけはひとまず回避されたが、「俺たちに明日はない。来年は職探し」(本社社員)というのが本音のようだ。
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm
2000/12/19
09:13
|