情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●少子化対策につながるのか
第三者の精子や卵子などの提供を受けなければ、赤ちゃんが授からない夫婦に朗報。厚生省の専門委員会は匿名が保てない近親者である兄弟姉妹、親友からの精子、卵子、受精卵の提供についても、他に提供者がない場合は認めるという最終報告書をまとめた。(朝日、読売、毎日)実際の不妊治療に移るには、紆余曲折があるとみられるが、夫婦全体の一割以上が不妊に悩んでいるだけに、一歩前進だ。
このまま少子化が進めば、消費が低迷し日本経済にも悪影響を及ぼす。余談だが、個人的には少子化を招いた大きな原因は、高度成長期に公団を2DKの狭い間取りに統一した国の住宅政策に問題があると思っている。不妊治療の問題も長期的な視野から真剣に取り組んでほしいものである。
◇東京は「米大統選“世紀の審判”」という大見出しでワシントン特派員電を取り上げているが、ブッシュ対ゴア論争が決着するタイミングは大きくずれ込んでおり、途中経過報告も色褪せる。
◇預金口座の維持管理のために銀行が預金者から徴収する手数料を東京三菱銀行(8315)などが導入に動き出した、と日経が報じている。
◇産経はきのう朝日がトップで掲載していた教育基本法を改正する「教育改革国民会議」の最終報告案の後追い記事を堂々と取り上げているが、内容的には新鮮味を欠いている。唯一救われるのは2面の「主張」欄に「欠けているものはなにか」という題で解説を加えている点。きょうは産経に限らず、各紙とも発表記事の多い紙面構成で生彩を欠く。欠けているものは記者諸氏の取材力では???
【IT】
●こんな広告もあったのか
「ITで次の“便利”へ、生活変える“革命”」という大きなタイトルで朝日が30~31面の見開きで「デジタルライフのすすめ」を掲載している。IT戦略会議議長の出井伸之・ソニー(6758)会長のインタビューをはじめ、同じくIT戦略会議のメンバーでITにくわしい慶応大学の竹中平蔵教授と丸川珠代・テレビ朝日アナウンサーとの対談など盛りたくさんの特集企画。今後、日本のめざすIT社会がどんな姿になるのかがわかりやすく読み取れる。ところが、出井会長がNTTを擁護する発言があるなど、どうみてもIT革命の恩恵をうけるソニーやNTT(9432)などの企業の協賛広告と間違いやすい。もっとも下の段にはオール5段の政府広報・内閣官房の広告が掲載されており、やっぱり広告かと疑いたくもなる。それならば全面広告と明記するべきなのだが、実にまぎらわしい特集企画です。
【トピック】
●やっぱり「金」が一番
20世紀最後の年となった今年の世相を表す漢字に「金」が選ばれた。日本漢字能力検定協会が全国公募した結果を各紙が取り上げているが、そう言えばシドニー五輪で、マラソンの高橋尚子や田村亮子選手らが金メダルに輝いたことや歴史的な朝鮮半島の南北首脳会談を実現した両首脳の名前が金サンだったり、悪い話では資金繰りが悪化して破綻に追い込まれた企業が続出したのも今年を象徴する出来事だった。もっとも、阪神からFA宣言して大リーグ・メッツ入りを決めた新庄選手は「お金じゃない、夢なんです」と記者会見で連発。世知辛い世の中、やっぱり21世紀も、地獄の沙汰も「金(カネ)」次第でないですか?
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm
2000/12/13
09:17
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