情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●八方塞がりの森総理
きのう発売の週刊誌に暴力団関係者とされる人物との会食・ツーショット写真をスッパ抜かれて、絶体絶命のピンチにさらされている森総理。「この人物とは面識もなく名誉棄損に当たる」(森総理サイド)として一応、掲載した雑誌社を告訴する方針を固めているが、なんと、雑誌のスキャンダル記事には余り目もくれないハズの大新聞まで、朝刊各紙で「辞めろコール」の追い討ちをかけている。
毎日と産経がそれぞれ独自ルートで実施した「森政権に対する世論調査」結果を1面トップで掲載。改造後の森内閣支持率は産経が18.2%、毎日で15%と予想されたとおりの低迷状態だった。両紙の調査で大きな違いは森退陣後の次期首相候補。産経は橋本元総理がトップで、小泉純一郎、河野洋平氏と続いているのに対して、毎日は田中真紀子さんがダントツ、次は石原都知事、小沢一郎自由党党首らが望ましいという結果が出た。小粒揃いで、大物政治家は不在ということを露呈しているようなものです。
日経も1面で本社の世論調査結果で森内閣の支持率が18%に下がったことを報じている。東京も共同通信社の配信した世論調査を1面に掲載しているが、やはり森内閣の支持率は19%、しかも「すぐに辞めてほしい」が57%にのぼっていることもわかった。東京の極めつきは、11、12面の「こちら特報部」で週刊誌に掲載された写真記事の追跡レポートを見開きで載せている。
読売は来年の中央省庁再編時から適応になる「大臣規範」の原案を1面トップでスクープしているが、関係業界からの酒のもてなしなど「供応接待を受ける」ことを「国民の疑惑を招く行為」として禁止するというのが原案の骨子。これが閣議決定されれば今回の料理屋での森総理のツーショットは、文句なく不利な立場におかれることは間違いない。
◇世論調査以外の記事では朝日のトップが教育基本法の見直しを盛った「教育改革国民会議」の最終報告案、東京は贈与税を現行の60万円から110万円に拡大するなどを目玉とする来年度税制改正の大綱を掲載している。日経のトップはIT欄で紹介します。
【IT】
●こっちはどんどん値を下げて
NTTグループの東西地域会社が今月末から高速インターネットに常時接続できるデジタル加入者線(DSL)事業に本格参入し、DSLなどのネット通信料金値下げを検討すると日経が1面トップで報じている。また、KDDIは来年5月から市内電話料金を3分8.8円にするという値下げ申請を郵政省に正式に届けたと、読売など各紙が掲載、ライバルの日本テレコムもすでに8.8円、東京通信ネットワークが8.7円を設定する方針を固めており、値下げ競争は一段と過熱する。同じ値を下げるにも森内閣の支持率と違って通話料金の値下げのほうは国民にとってありがたい話です。
【トピック】
●技術立国ニッポンの象徴が即席ラーメンとは
世紀末も終焉になると、その時代を回顧する調査や報告のたぐいがやたらと目につくが、富士銀行系シンクタンクが「20世紀に世界をうならせたメード・イン・ジャパンのナンバーワン商品」を発表した。20世紀に国内で作られ、世界に誇れるようになった商品を技術面などからアンケート調査したものだが、堂々、トップに輝いたのがインスタントラーメン。現在、世界でも年間437億食以上も食べられている国民食いや国際食なのだが、2番目がカラオケ、3位以下がヘッドホンステレオ、家庭用ゲーム機・・・自動車技術がかろうじて9番目に顔をのぞかせている。技術立国ニッポンとしては少し情けないが、あの新庄選手まで大リーグのメッツ入り。日本を見捨てて海外に羽ばたく若者が増えているのももっと気にかかる。さて、21世紀に誇れるメード・イン・ジャパンとは???
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm
2000/12/12
09:08
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