東大大学院、コンパックコンピュータ、デジタルファクトリの3者は8日、日本学術振興会から受託している「Adventureプロジェクト」の成果として、超大規模解析が可能なCAE(コンピューター支援エンジニアリング)ソフト「Adventureシステム」のベータバージョンを開発した、と発表した。従来のCAEソフトに比べ2、3ケタも精度の高い解析を実現するという。2001年第1四半期にも正式な製品版として発売される見通しだ。
同プロジェクトは、日本学術振興会の未来学術研究推進事業における“計算科学”分野のひとつ。同大学院の吉村研究室が中心になって1997年8月から研究を続けている。
研究のポイントは(1)1,000万から1億自由度メッシュの詳細な解析を丸ごと行えるようにする(2)パソコンから超並列までの多様な環境へ容易な移植ができるようにする(3)単一解析のほか、異なる複数の画像や現象の同時解析なども柔軟に、効率的にできる―など。
基本的には特定のハードウェアに依存しない開発プラットフォームをメインとし、現時点で世界最速64ビットAlphaプロセッサーを搭載するコンパックのクラスタシステムを選定している。
ベータ版は、同プロジェクトのホームページから無料でダウンロードが可能。引き続き2002年3月のプロジェクト終了まで、各種のモジュールを開発し熱流体や磁場解析などにも対応できるようにする。
最終的には、製品や部品の強度、振動特性、周囲の気体の流れ、熱の伝わり方、構造物のメッシュ生成・解析・可視化などに応用できるようなソフトウェアを作り上げる。
■URL
・Adventureプロジェクトのホームページ
http://adventure.q.t.u-tokyo.ac.jp/
・メッシュイメージ図
http://www.compaq.co.jp/press/images/abwr_mix5.gif
・デジタルファクトリ
http://www.digitalfactory.co.jp/
(市川徹)
2000/12/08
15:59
|