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直径2.75マイクロのワイングラス~NEC、SIIなどが超微細技術開発

  NEC(6701)は8日、姫路工業大学の松井真二教授およびセイコーインスツルメンツ(SII)と共同で、100ナノメートル(1ナノは100万分の1ミリ)以下の任意の3次元構造体が自在に作成できる技術を世界で初めて開発したと発表した。3者は、この技術により炭素を素材とした直径2.75マイクロという世界最小のワイングラスの製造に成功、この技術の精度の高さを実証したという。

  開発した3次元ナノテクノロジーにより、これまでは製造が困難であったマイクロからナノサイズの超微細立体構造が、任意の材料で製造できるようになる。3者は、これまで不可能であった神経系などの生体機能の計測、光通信向けの高性能制御素子、超微小センサー、スイッチなどの作成が可能になるとしており、ナノエレクトロメカニクス、ナノ光学、ナノ磁気デバイス分野などでの飛躍的な性能向上が期待されるという。

  この製造法は、10ナノメートル程度に集束したガリウム集束イオンビームを、コンピュータ制御された電磁界でコントロールしながら、原料となるガスの中を立体走査させる技術により実現した。立体構造の形状は、3次元CADによって制御される。これまでの超微細構造体の製造は、レーザーによる光造形法や半導体プロセスが実用化されつつあるが、解像度が低いなど限界があるという。

■URL
・NEC
http://www.nec.co.jp/
・セイコーインスツルメンツ
http://www.sii.co.jp/

(沖野宗一)
2000/12/08 13:01