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コラム 瓦版一気読み~これが21世紀の「夢」?

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●森サンに「辞めろ!」と迫る読売
  同じデータで記事を作成しても、書き手の問題意識や新聞社の方針によって全く違う記事に仕上がることがある。

  読売が実施した緊急世論調査(電話方式)によれば、森内閣の支持率は30%。面接方式で実施した前回調査(18.4%)を10ポイント以上も上回った。「支持率は回復したが・・・」との書き出しで始まっても良さそうなのだが、読売は支持率の上昇を後回しにして、いきなり<「森首相に期待せず」75%>

  読売の調査では、森喜朗首相に「期待していない」との回答が75%を占め、「期待している」と答えた人を52ポイントも上回った。

  先月の「加藤政局」以降、「森離れ」の論調を鮮明にしている読売が、良くて準トップ扱いの世論調査物をトップで報じた狙いは?

  サブの見出しは、<早期退陣、半数望む>となってますな。

  ◇「で、発表(会場)はどこですか?」「ソウルです」「え~、ソウル?」

  成田から2時間ちょっととはいえ、ソウルは韓国の首都。れっきとしたガイコクである。取材に行きたいけど、ソウルじゃ編集長の許可は下りないワ。

  広報担当者の「ソウルです」の一言に素っ頓狂な声を上げた某経済サイトの女性記者は、直ぐに落ち着きを取り戻し、広報担当者に懇願した。「プレスリリース、FAXでいただけますか」

  閑話休題。カネのある朝日は、ネタのためならと記者をソウルに送り込み、<韓国政府、在日系信組の再編支援>の“スクープ”をものにした。経営不振にあえぐ在日韓国人系信組を救済するため、韓国政府が400億円の資金援助(新銀行への出資)を計画していることを「韓国政府当局者が首都ソウルで朝日新聞の取材に対して明らかにした」という。

  取材したのはソウル特派員かもしれないじゃないか、と思われる方もいるだろうが、毎日以外の大手紙はこういう場合、東京から記者を送り込むものなのです。

  ◇金融絡みのトップ記事をもう1本。銀行業への異業種の参入に関する検査・監督方針の検討を進めてきた金融審議会が、銀行の主要株主向けルールの大枠を固めた。

  それによると、株主を出資比率に応じて3つのグループに分け、「出資比率が高いほど立ち入り検査の頻度を高めるといった段階的に厳しい規制を導入する」(日経)。このニュース、東京だけがトップで報じており、法令違反などの悪質なケースについては「認可の取り消しや株式売却命令によって銀行業から撤退を命じられるようにする」という。

  ◇会計基準の国際化が進む中、含み損の処理を急ぎ、財務の健全性をアピールする企業が増えている。日経によれば、3月期決算の上場企業1,826社が9月中間決算に計上した特別損失(単独ベース)の総額は約9兆7,000億円で、半期の過去最高に達したという。

  ◇産経は、昨日の読売トップ記事の後追い(+α)。毎日のトップは・・・【IT】で紹介します。

  【IT】
  ●21世紀の「夢の技術」
  21世紀の100年間で実現が可能な科学技術は―。科学技術庁の政策研究所が、専門家の意見を基にまとめた「21世紀の科学技術の展望」を発表した(毎日)。さて、どんな「夢」が現実のものとなるか。

  月や火星ツアーが日常化。気候や環境の変化などの正確な予測。この程度は序の口、そう難しいことではないだろう。

  コンピューター操作もTV受信も直接、脳で行えるようになる。これも、いずれできそうな気がする。人間の手足をしのぐ義手や義足の登場も「遙か未来の夢」とは思えない。

  筆者は、人口爆発に伴う食糧問題の解決策が次世紀最大の課題になると思っているが、専門家の予測では、「人類は徐々に小型化し、問題は解決する」という。ホントかね。

  【トピック】
  ●大歓迎
  京王電鉄が、痴漢防止のための「女性専用列車」の運行を開始した。今月末までの毎週木・金の計6日間、新宿を深夜や未明に発車する臨時列車9本に設けるそうで、カラー写真が読売、毎日、東京の1面に掲載されている。

  乗客の反応は、「この季節は酔っぱらいも多いので、安心できる。朝の通勤ラッシュの時間帯にも作ってほしい」(毎日から引用)。

  いいですねえ、ラッシュ時の全列車に導入してもらおうじゃないですか。触ってもいないのに疑いの目で見られた経験を持つ男どもも、女性専用列車は大歓迎。ついでに、酔っぱらい専用列車や、傍若無人な振る舞いが目立つオバタリアン専用列車も導入したらいい。

  [メディア批評家 増山広朗]

◆11日は新聞休刊日のため、当コラムは休掲となります。

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm

2000/12/08 08:54