FINANCE Watch
コラム 瓦版一気読み~景気はどっち向いてるの?

  情報は時とともに劣化する・・・

  【1面トップ】
  ●トラブル抑止効果のほどは?
  ドメイン名は、自己の名称などを示す文字列として登録している場合が多く、HPに表示された商品の販売宣伝の出所を識別する機能を持つこともある―。インターネット上の住所にあたるドメインについて、富山地裁は商標と同様の価値を認め、信販大手ジャックスの会社名を取り入れたドメイン名の使用差し止めを命じる判決を下した。

  ドメイン名の取得は、早い者勝ち。先着順で決まるため、大企業の社名を冠したドメイン名を先行取得、高額での買い取りを求めるトラブルが多発している。

  富山地裁の判決は、ドメイン名が不正競争防止法で守られる商標の一種になり得るとの判断を示したものだが、他社の商標使用についてなお余地を残しており、きちんとしたルールづくりが急がれている事情に変わりない。毎日がトップで報じている。

  ◇「国土交通省」を巡る建設、運輸両省の主導権争いが激化、両省の大臣を兼務する扇千景氏の大臣室への“誘致合戦”も熾烈をきわめている。

  どっちの大臣室に長くいたかを判定基準にしようなどと考える連中もいるくらいだから、トップ記事の数も勝敗の判定基準になる・・・かどうかは、ともかくとして、今日の朝刊では運輸省が健闘している。

  読売が羽田空港の「国際化」に関するニュースをトップで報道。日経も、扇“運輸相”の就任インタビューを基に、運輸省がJR本州3社を同時・完全民営化するためのJR会社法改正案を次期通常国会に提出する方針を決めた、との記事をトップ記事に仕立て上げた。 対する建設省は・・・“暗い”ニュースが朝日のトップを飾った。工業団地やニュータウンの開発を手掛ける地域振興整備公団の分譲地の在庫が、この3年半で1.5倍に急増していることが分かったという。

  ◇海上自衛隊が空母型護衛艦の建造を考えているらしい。東京によれば、来年度から5年間の次期防衛力整備計画(次期防)で「ヘリコプター空母型護衛艦」を2隻建造する方針を固めたという。

  戦闘機は搭載しないが、空母を保有するだけで「『侵略の意図あり』と誤解される可能性も」。海自初の空母に「周辺国から批判が出ることも予想される」という。

  ◇シンガリは産経。東京都は、身分証明書にもなる施設割引などの特典が付いた独自の「パスポート」を、65歳以上の高齢者に支給する方針を固めたという。将来は、保険証などの機能を付加することも検討するとか。

  【IT】
  ●キツイなあ
  <パソコン知識 あなたは星いくつ?>との見出しを掲げているのは毎日。NTTコミュニケーションズが、インターネットやパソコンの知識に資格を認定する全国規模の検定試験「.com Master(ドットコム・マスター)」を創設、来年5月13日に第1回試験を実施するという。

  パソコンのためなら徹夜も厭わないなんて御仁には朗報だが、「星3つを採用の条件とする」なんて企業が続々現れたら・・・。デジタル・デバイドに悩む中高年のオッサンたちにはキツイぞ。

  ◇仕事場でインターネットを私用に使っている人の割合は、米国の47%に対し、日本は何と67%。米ウェブセンス社の調査で日本の企業は“私用ネット天国”と化している実態が明らかになった(東京)。

  中には、私用と社用の区別がつかないものもあると思うのだけど・・・。これを機に社内管理を厳しくしようという企業も出てくるだろう。

  【トピック】
  ●「再利下げ」論浮上!
  FRB(米連邦準備制度理事会)のグリーンスパン議長が金融緩和を示唆する発言を行い、混迷する大統領選と企業収益の悪化で低迷する米市場に「救いの手を差しのべた」(日経)。グリーンスパン発言で、米国の金融政策が「インフレ警戒型」から「中立型」に変更されることはほぼ間違いなく、「市場ではFRBがいつ利下げに踏み切るかが最大の焦点となってきた」(読売)。

  米市場に連動する日本市場も、グリーンスパン発言を好感。6日の日経平均株価は一時1万5,000円台を回復したが、景気回復にいまひとつ確信が持てないこともあって、“グリーンスパン効果”は直ぐに剥げ落ちた。

  回復の手応えが一向に感じられないのは、「日銀が政策判断を誤ったため」(相沢英之前金融再生委員長)。政府・与党内には「量的緩和や『ゼロ金利回帰』論も含め、日銀の金融政策への注文が日増しに増えている」(朝日)そうで、今後の動向次第では「再利下げ」を求める声が一気に高まることも考えられる。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm

2000/12/07 09:14