情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●魑魅魍魎(ちみもうりょう)の永田町色模様
朝日<「重量級」足元は不安>
毎日<「森離れ」歯止め図る>
読売<政権浮揚へ2元首相起用>
産経<首相経験2人起用>
日経<省庁再編・景気を重視>
東京<元首相2人“重量級”布陣>
今日は全紙が内閣改造のニュースを1面トップに持ってきた。一貫して森政権に厳しい姿勢を取り続ける朝日以外は、森喜朗首相の“やる気”を前面に押し出している。
◇見出しも重厚で、それなりの体裁を保っている。が、腹の中(うち)は、1面の見出しとは裏腹。記者の裁量に委ねられている解説記事の見出しは、「『床の間』に過去の人」(毎日)、「重い、しかし軽い」(読売)、「いまだに危険水域、問題は首相自身に」(東京)といった具合に刺激的だ。
◇ところが、新聞各社の公式見解とも言うべき社説に目を転じると、再びガッカリさせられる。
朝日<森改造内閣、政権のまる投げだ>
毎日<内閣改造、行革推進の意欲はかうが>
読売<森改造内閣、政治の指導性確立へ見識を示せ>
産経<期待感いだかせる重厚布陣、「新時代」への舵取りを誤るな>
日経<改造内閣は政治主導を生かせるか>
東京<森改造内閣、短期決戦覚悟であたれ>
書き手の腹の中を探れば、森政権批判の急先鋒に立つ朝日とそう大差ない。なのに、いざ論調を整える段になると、綺麗事を並べようという意識が先に立ち、語呂合わせのような流麗な文体に自ら酔いしれる。紙面の無駄遣いである。
◇新聞批評はこのくらいにして、改造人事の中身に少し触れておく。
注目点は、やはり橋本龍太郎元首相の起用だろう。同じ首相経験者でも、宮沢喜一蔵相の場合は名誉くらいしか欲が残ってないが、橋本氏はまだ63歳。復権への意欲ありあり、である。
行革担当相への就任を要請した森首相の狙いは、産経が指摘しているように「『森おろし』封じ」にあることは確かだが、橋本氏にしてみれば、森政権を本気で支えるつもりなどさらさらない。「『いつでも代われる』好位置」(読売)に就けるので受けたに過ぎないのだろう。
が、魑魅魍魎の世界である。やがて訪れるであろう森政権崩壊の時に連帯責任を迫られ、「共倒れの危険も」(東京)。橋本サンは、首相復帰の“ラストチャンス”に賭けたんでしょうね。
◇組閣が行われた5日、東証は4営業日ぶりに反落、「森内閣の顔触れが明らかになるにつれて売り注文が増え始めた」(産経)。小春日和の株価が、氷点下5度(きょうの予想最高気温)の札幌並みに冷えてきた。
【IT】
●お寒い閣僚の“IT度”
IT革命を看板に掲げる森内閣の閣僚たちの“IT度”を調べるべく、読売がアンケートを実施した。質問項目は、(1)ワープロソフトを使えるか(2)Eメールをやり取りしているか(3)個人のHPを開設しているか~の3項目。
結果は、「ワープロダメ」が18人中9人、「メールが無理」は10人と半数を超えた。
満点?は、IT担当の額賀福志郎経企庁長官ら4人。零点も4人おり、IT革命の立て役者を自認する森首相は…、その1人でした。
【トピック】
●経済界も人材不足?
経済誌などで「Xデー説」も囁かれているダイエーの新会長に人事院公平局長の雨貝二郎氏が就任する見通し、と朝日が報じている。雨貝who?
当然の疑問である。通産相時代、大規模小売店舗調整官(課長職)としてスーパーや百貨店の出店調整を担当。売上税の導入問題を巡る業界工作で中内功前会長らダイエー経営陣との間にパイプを築いたが、所詮は官高民低の時代の付き合いに過ぎない。
政治的手法を好む異色の行政官というのが、通産省関係者の雨貝評だが、経営者としての手腕は未知数。朝日によれば、ダイエー側は「渉外業務をお願いしたい」そうだが、今さら官頼みの時代でもあるまいに。
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm
2000/12/06
09:04
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