情報は時とともに劣化する・・・
【1面トップ】
●盛り上がらない内閣改造
第2次森改造内閣の発足を明日5日に控え、閣僚人事が進んでいるが6紙朝刊でのトップ扱いはゼロ。大半が横滑りで新味に欠けるという事情はあるにせよ、最早、この内閣への関心も期待もないということか。それにしても、今回の閣僚が1月6日に実施される省庁再編後の初代大臣になるわけだから・・・。これまで散々書かれたが、せめて再編の図解でも示して欲しいよなと思っていたら、読売が2面でやってました。
◇さて、各紙で見事にばらけたトップは、毎日が自然エネルギー促進に関する都道府県・政令指定都市を対象にした調査報道。全体の約6割が、風力や太陽光発電など自然エネ促進のための条例や、行動計画などをもっていることが明らかになったとまとめている。
◇産経、日経を除いて1面を飾ったカラー写真は、真っ赤なユニホームでゴールのテープを切る藤田敦史選手(24、富士通)。福岡国際マラソンで、シドニー五輪金メダリストのアベラ選手(エチオピア)を抑え、日本最高記録で優勝した。主催者の朝日は「男子復活へ光明」と、当然のことながらこの快挙を大きくトップ扱いした。藤田選手は、今年3月のびわ湖毎日マラソンで、シドニー代表に挑む予定だったが、足の故障で欠場を余儀なくされた。見事なリベンジ。ちなみに、あの円谷幸吉選手と同じ福島県の出身で、郷土の先輩を尊敬しているという。
◇日経は、「特許審査1年以内に」。特許庁は、平均で1年7カ月を要している審査期間(審査請求~結果通知)を「一部の案件について米国並みの1年以内に短縮する」という。解せないのは中小・ベンチャー企業が対象という点。確かにインターネット関連などIT分野では中小・ベンチャーの活躍が目覚しいが、大企業は後回しという審査が可能なのかね???
◇このほか、読売は<公立小中で20人授業>という教育もの。産経は、キャンペーン的に取り組んでいる“歴史教科書”。「平成14年度」から使用される中学生向け教科書のコピーが大量流出していると報じている。平成14年度って、えーと、2002年度か。唯一、元号標記にこだわる姿勢は評価するが、書き出しくらい括弧内に西暦も標記してほしいと、ずっと思ってました。東京は<男の中年太り 遺伝子に異変>と、お父さん方には気になる情報。若いときより10キロ以上太った人の6割近くに認められるという。
【IT】
●公取委の挑戦
「NTTグループにメス」と、公正取引委員会の通信独占問題への取り組みを、日経が「ニュース遠景近景」という1ページ特集でまとめている。DSL事業をめぐってNTT東日本への調査に入るなど、公取委は通信ガリバーに挑もうとしている。米国では司法省が1980年代半ばにAT&Tを解体し、通信市場の競争を促進させることになったが、特集では「立ちはだかる政治の壁」と、限界にも言及している。
◇読売が、インターネットで医療の情報公開は変わるのかという、これも特集記事。ホームページを公開している医療機関は3,000件以上にのぼるが、大半が「客寄せ用情報」と手厳しい。
【トピック】
●第2次大型文字競争
読売の紙面ががらっと変わった。といっても、レイアウトを大胆に変えたとか、題字が変わったという話ではない。文字を、面積で約22%大きくしたのだ。これにより、1面15段という1950年から続けられてきた新聞の常識を改め、14段組みにしている。1段当たりの文字数は12字とそのまま。気になる広告だが、これは1紙だけ変えるわけにもいかず、他紙と比べると従来のサイズを踏襲(例えば3段広告は旧3段のまま)している。
新聞の文字拡大競争は1980年代後半から活発化したが、これが第2次拡大競争の口火となるのか。でも、総ページ数を増やさない限り、情報量は確実に減ります
[メディア批評家 増山広朗]
■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm
2000/12/04
09:04
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