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コラム 瓦版一気読み~活躍する?“元気老人”たち

  【1面トップ】
  ●古色蒼然の改造人事
  加藤紘一氏の造反騒動に揺れた臨時国会がきょう閉幕、政局の焦点は内閣改造に移る。

  東京によれば、森喜朗首相はきょうの与党党首会談で、公明・保守両党の同意を取り付けた上で、5日にも改造を行う考えという。

  今回の改造は、年明けの中央省庁再編をにらんだ重要な人事だが、宮沢喜一蔵相、堺屋太一経企庁長官、河野洋平外相、扇千景建設相ら主要閣僚は軒並み留任。予想される新閣僚の顔触れも、村岡兼造元官房長官、池田行彦元外相ら、いかにも頭の固そうな“元気老人”がズラリ。今さらではあるが、世も末だね。

  ◇社会部ネタを3連発。読売は、日本赤軍最高幹部の重信房子容疑者がハーグ事件(1974年)の首謀者だったことを示す「指令書」のコピーを公安当局が入手していたことが分かった、と報じている。

  産経のトップは、「ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)」の政界工作疑惑の続報。KSDと関連団体が、玉沢徳一郎元農水相の斡旋で地元の業者から5億3,000万円分の海産物を買っていたことが分かったという。

  毎日はトンネルじん肺訴訟和解のニュース。トンネル工事でじん肺を患ったとして労働者と遺族1,300人が賠償を求めていた集団訴訟で、東京地裁が和解案を示し、原告側は応じる姿勢をみせているという。問題は被告(企業側)の対応だが・・・

  ◇このほか朝日が医療保険制度改正関連法の成立、日経は第3セクターの財務内容に関する独自調査の結果をトップで報じている。

  【IT】
  ●BSデジタル放送スタート
  テレビのデジタル化の幕開けを告げるBSデジタル放送の本放送がきょうの午前11時からスタート。しかし、視聴に必要なチューナーやチューナー内蔵型の高画質TVは既に品薄状態で、放送開始時に視聴できるTVは「20万台前後にとどまる見通し」(読売)という。

  それでも見たければ、BSデジタル放送に対応するケーブルTVに加入すればいい。

  ◇NTTドコモ(9437)と全米NO.3の携帯電話会社、AT&Tとの間で行われていた資本提携交渉がまとまり、30日に発表された。

  これまでさんざ書き尽くされてきたので、地味な扱いかと思われたが、読売は総合面、東京は経済面トップで大々的に取り上げている。もちろん日経も、である。

  【トピック】
  ●噛みつく元気老人たち
  「仲間外れにするな!」。三井グループの前田勝之助・東レ(3402)会長が、三井化学(4183)と住友化学工業(4005)の経営統合にガブッと噛みついた。

  朝日によれば、住友化学との統合を決める三井化学の役員会に社外取締役として出席した前田氏、「(事前の説明もなく)信義にもとる」「統合して生きていけるのか」などと10分以上にわたって長広舌をふるい、蚊帳の外に置かれたことへの不満をぶちまけたという。

  統合(2003年10月)まで時間はたっぷりある。徹底的に揺さぶって仲間に加わろうとの魂胆からか。

  ◇「自主再建を断念したのだから返してくれ」。そごう破綻の“戦犯”、水島広雄前会長がそごうグループと日本興業銀行に対し、「経営再建のために提供した」そごうや千葉そごうの株返還などを求める訴訟を起こした(各紙)。

  もはや紙屑同然。そんなに欲しけりゃ持って帰れ!と言いたいところだが、「株式の寄付はそごうの自主再建が前提。寄付の効力が失われたのだから返還するのが筋」とは何をか言わんや、である。

  [メディア批評家 増山広朗]

■URL
・瓦版一気読み バックナンバー
http://www.watch.impress.co.jp/finance/kawaraban/index.htm

2000/12/01 09:06