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株価調整中のトランスメタのCPUに不具合~NECは無償交換へ

  NEC(6701)は30日、10月17日に販売開始した「LaVie MX」シリーズと10月25日に販売開始した「LaVie G」シリーズの一部製品について、トランスメタ(TMTA)のCPU「クルーソー」のロット(製造単位)不良で、パソコンに添付されているバックアップCDによる再セットアップ作業が正常に終了しないなどの不具合がまれに発生する可能性があると発表した。12月1日から該当商品のマザーボードの無償交換を受け付ける。これまで出荷したのはおよそ2,000~3,000台あり、そのうち対象となるのは284台あるとしている。

  問題を起こすパソコンで使われているCPUは「TM5600 600MHz」。今回の問題は、特にユーザーからクレームや問い合わせがあったわけではなく、製造工程でOSをインストールする作業でエラーがひんぱんに出たため、TMTAに同社が問い合わせて初めて分かった。周波数や熱量などある特定の環境・条件下でCPU内部のキャッシュが誤作動を起こすという。

  トランスメタのCPUを搭載したパソコンをすでに発売しているのは、このほかに富士通(6702)が「FMV-BIBLO LOOX Sシリーズ」(TM5400 533MHz)と「FMV-BIBLO LOOX Tシリーズ」(TM5600 533MHz)を、ソニー(6758)が「バイオC1」の「PCG-C1VJ/BP・PCG-C1VJ」(TM5600 600MHz )と「バイオGT」の「PCG-GT1」(TM5600 600MHz)をそれぞれ販売している。

  富士通では「搭載しているCPUのモデルが違うためだと思うが、トラブルや問題は特に起きていないし指摘も無い。もちろん今後もし問題が起こるようなら調査しきちんと対応していく」としている。ソニーでは「まれに不具合が出ることは認識できているがその症状など詳細については現在調査中。調査がまとまり次第、顧客対応も含めて報告する」という。

  トランスメタのCPUは消費電力が低く低価格でもあるため、モバイル用途として最近注目を集めている。11月7日にはNASDAQに新規上場したばかりで、前評判どおりに人気化した。しかし、上場後はNASDAQ市場全体の調整や人気化の反動もあって大幅に下落し上場来安値を追っている。直近29日の株価も前日比5 1/16ドル安(17.5%安)の23 13/16ドルと大幅安で、上場来高値50 7/8ドルから53.2%も調整。今回の不具合を嫌気すればさらに調整する可能性も高い。

■URL
・NECニュースリリース
http://www.nec.co.jp/japanese/today/newsrel/0011/3001.html
・詳細情報
http://121ware.com/
・ソニーのクルーソーCPU問題に関するニュースリリース
http://vcl.vaio.sony.co.jp/products/common/note/info19.html
・FMV-BIBLO LOOX
http://www.fmworld.net/product/_frm-pc/biblo-loox_top.html
・トランスメタが米NASDAQで取引開始~公募価格比2倍付ける
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/11/08/doc970.htm
・「クルーソー」のトランスメタが7日にNASDAQ上場~高人気で公募価格21ドル
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/11/07/doc956.htm
・NEC、Crusoe搭載Lavie MXをリコール(PC Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20001130/nec.htm

(別井貴志)
2000/11/30 14:38